オンライン数学学習メモ 2
メモ書き 「」
- R加群準同型写像(R-module homomorphism)$f:M\to N$ : 可換環RとR加群M,Nに対して、以下が成り立つもの
$$\displaylines{
\begin{align}
&\forall x,y\in M, \forall a\in R: \\
&(i)\quad f(x+y)=f(x)+f(y) \\
&(ii)\quad f(ax)=af(x) \end{align} }$$ - R加群同型写像(R-module isomorphism): R加群準同型写像 + 逆写像の存在 $\exists g:f\circ g=\text{id}_{N}\land g\circ f=\text{id}_{M}$
- R加群準同型写像では、同型写像と全単射が同値
- 準同型定理も成り立つ
- R加群準同型写像全体の集合 $$\text{Hom}_{R}(M,N):=\{f:M\to N\mid f\text{ is R module homomorphism}\}$$ はR加群
- 双対加群(dual module)$M^{\lor}$ : R加群Mに対する $\text{Hom}_{R}(M,R)$
- ベクトル空間の双対加群 $V^{\lor}$ は双対空間
- 双対加群はMに同型、つまり $\text{Hom}_{R}(R,M)\cong M $ とくに$R^{\lor}\cong R$
- ねじれ元(torsion element): R-moduleの元のうち、整域Rの0でない元と演算すると0になるような要素、つまり $\exists \in R\setminus \{0\} \text{ s.t. } ax=0$
- ベクトル空間の双対の双対はもとのベクトル空間に戻るが、R-moduleの場合一般に成り立たないのはこのねじれ元の存在のため
- 任意のZ/nZはねじれ加群
Masaki Koga [数学解説]
数学の世界地図 解説動画
多様体
- 中から図形を知る必要性…我々は宇宙の中に住んでいるが、中から宇宙の姿を知りたい
- 多様体とは、各点の近傍がユークリッド空間と同相であるもの
- 地球を多様体とみなすには、半球の正射図法の集まりとする、サイコロの展開図のように
- 地図が滑らかに張り合っているものを可微分多様体という
グラフ理論
- オイラー路: すべての辺を通る一筆書き問題(ケーニヒスベルクの橋の問題)
- ハミルトン路: すべての点を通る一筆書き問題
- 閉路: 始点と終点が同じもの
- ハミルトン閉路をみつける良い条件は未解決問題(P≠NP問題)
位相空間
具体例で学ぶ代数学(群論)
- 一般の群は可換ではないので演算結果の逆元を取るとき演算の順序が逆になることに注意
- 位数2の群の場合、単位元でないほうの元同士の演算結果は単位元にならないといけない(なぜなら逆元が存在しなくなってしまうから)
- 位数2の群の例:mod2の加法
- 環は2つの演算で、'+'は可換群、'・'は結合法則と単位元のみでOK(逆元も交換法則も不要)、2つの関係として分配法則
- 乗法についても可換な環は可換環。(環の議論の多くは可換環なので、これを可換環を環の暗黙の前提にしている本もある)
- たまに、乗法に単位元の存在を要求しない流儀もある
- 体は、可換環と、0以外の元について乗法の逆元を持つ
- 体は平たく言えば四則演算ができる体系のこと
- 乗法だけ可換性を外した体を斜体という
- n文字の多項式全体の集合は可換環の要求を満たしており、とくに多項式環という
- 実数係数によるn次正方行列は環である(ただし可換ではない)
- $\mathbb{R}, \mathbb{C}, \mathbb{Q}$ などは(可換)体だが、 $\mathbb{H}$ は可換ではないので斜体
- 整域(domain): 積が0になる2数のうう、少なくとも片方が0である可換環、つまり $$ab=0\implies a=0\lor b=0$$
- ↑は整数全体などでは普通に成り立つが、例えば $\mathbb{Z}/6\mathbb{Z}$ では成り立たない($\overline{2}\cdot\overline{3}=\overline{0}$)
- $\mathbb{Z}/5\mathbb{Z}$ は体でもある、つまり、0以外のすべての元に、かけると1になる逆元がある($\overline{1}\cdot\overline{1}=\overline{1}$、$\overline{2}\cdot\overline{3}=\overline{1}$、$\overline{3}\cdot\overline{2}=\overline{1}$、$\overline{4}\cdot\overline{4}=\overline{1}$)
- $\mathbb{Z}/6\mathbb{Z}$ は体ではない($\overline{2}$に逆元なし)
- $\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}$ が体になるためには、mが素数であることが必要十分
- ↑は、2数の積を列挙するとすべて余りが異なることから、そのうち余り1が逆元なので、必ず逆元があることが言える
- mが素数でないとき逆元が存在しないことの証明
- mが素数でないときmが合成数なのでabの積で表せて、m自体はmで割ると余り0なので $\overline{a}\cdot\overline{b}=\overline{0}$
- これに逆元があるとすると、逆元の定義から、 $\overline{a}\cdot\overline{c}=\overline{1}$ が言えるはず
- ならばcを取ってきてさっきの式の両辺にかけて $\overline{c}\cdot\overline{a}\cdot\overline{b}=\overline{0}$
- ここで逆元の定義からcaの部分が取れて $\overline{b}=\overline{0}$
- しかし↑はbが合成数の構成要素であることに矛盾
- よって前提が間違っていた。つまりmが素数でないとき逆元は存在しない
- 部分群の定義は、
$$\displaylines{
1_{G}\in H \\
\forall x,y \in H: xy\in H \\
\forall x\in H: x^{-1_{G}}\in H }$$ だが、条件は2つに簡略化出来て、 $$\displaylines{ H\neq\phi \\
\forall x,y\in H: xy^{-1_{G}}\in H }$$ でもよい - GLの部分群として、SLとともにO(直交群, orthogonal)も有名。(直交行列=自身と自身の転置行列を掛けると単位行列になるもの) $$O(n)=\{A\in GL(n,\mathbb{R})\mid A^{t}A=E_{n}\}$$
- また、ユニタリー群も重要(ユニタリー行列全体) $$U(n)=\{A\in GL(n,\mathbb{C})\mid A^{t}\overline{A}=E_{n}\}$$
- 整数全体の加法による部分群は整数の倍数全体による部分群のみである
- ↑の証明は、ある部分群の最小の元tをとった時、tの倍数は定義から存在が言えるが、もしtの倍数以外の値が含まれれば、それとの演算によりtより小さい元が発見でき、tが最小限であるという前提に矛盾する。すべてのtについて同様であるため、結局整数の部分群はなんらかの整数の倍数全体による部分群しかありえない。
- 群Gの部分集合Sがあるとき、 $\langle S \rangle$ を、Sの元またはその逆元を有限回かけたものすべての集合とする。これがSを含む、Gの最小の部分群である
- ↑を、Sで生成される部分群という
- 1つの元xから生成される部分群は、その累乗全ての集合、つまり $$\langle x \rangle=\{x^{m}\mid m\in\mathbb{Z}\}$$
- 2つの元x,yから生成される部分群は注意が必要で、可換なら $x^{n}y^{m}$ のように書けるが、一般の群では成り立たず、ランダムに並べたものすべての集合としか言えない
- $\langle 2 \rangle=2\mathbb{Z}$
- $\langle a \rangle (a\in\mathbb{C}\setminus\{0\})$ が有限集合である条件は、 $a=e^{i\pi\theta}(\theta\in\mathbb{Q})$
- 群の位数:群の濃度のこと
- 元の位数:何回掛ければ単位元に戻れるか、つまり $x\in G$ の位数とは、 $x^{n}=1$ となる最小の自然数n(ない場合は無限大とする)
- 関係というのは集合2個の部分集合 $R \subset S\times S$ で、同値関係はその中でも反射律・対称律・推移律を満たす特別な関係を言う
- 自然な写像:ある集合Sからその集合の商集合S/~へ、それぞれの元xからそのxが属するグループC(x)への写像のこと、つまり
$$\displaylines{
\varphi:&S&\to&S/\sim \\
&x&\mapsto&C(x)
}$$
- 完全代表系:商集合の各同値類それぞれから代表元を1つずつ選んでできた集合
- 完全代表系を構築する過程で選択公理を使っている
- イコールで結ばれる同値関係は自分自身のみを元に持つ集合で、自明で面白くない
$G=\mathfrak{S}_{3}, H=\langle(1,2)\rangle$ としたとき、これの完全代表系は $$G/H=\{\overline{\text{id}}, \overline{(1,3)}, \overline{(2,3)}\}$$
↑の共役によるグループは $$G/\sim=\{\overline{\text{id}}, \overline{(1,2)}, \overline{(1,2,3)}\}$$
商集合の中で、逆元が存在するものだけを抜き出したものを乗法群といい、次のように書く $$ (\mathbb{Z}/m\mathbb{Z})^{\times}=\{\overline{a}\in\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}\mid \exists \overline{b} \in \mathbb{Z}/m\mathbb{Z} \text{ s.t. } \overline{a}\cdot\overline{b}=\overline{1}\} $$
- たとえば、 $(\mathbb{Z}/12\mathbb{Z})^{\times}=\{\overline{1}, \overline{5}, \overline{7}, \overline{11}\}$
- もともと加法についての群だったが、×を追加することで乗法についての群にもなる
- TFAE: The Followings are equivalent(以下は同値、の意)
- 正規部分群: $gng^{-1}\in H, gNg^{1}=n, gN=Ng$ のどれかが成り立つもので、 $N\triangleleft G$
- 部分群の指数:同値類の種類のこと
- 剰余類の演算として、 $xH\cdot yH=(xy)H$ という演算を考えたくなるのが自然だが、こうすると表示の異なる剰余類によって演算結果が変わってしまう。これは困る。
- ↑の状態をwell-definedでないという
- 有理数の足し算はwell-defined
- 実は、正規部分群だと前述の演算はwell-definedになる。
- 正規部分群の定義から部分群に吸収されるので。つまり $xyH=xhykH$ となってほしいが、正規部分群のとき $xyy^{-1}hykH$ で $y^{-1}h y, k$ がともにHに含まれるので
- 可換群は正規部分群
- 準同型定理 $G/\text{ker }\varphi\cong\text{Im }\varphi$
- 第2同型定理: $G\supset H,N$ であり、$N\triangleleft G$ のとき、以下が成り立つ
$$\displaylines{
HN := \{hn\mid h\in H, n\in N\} \text{ is subgroup of G} \\
N\triangleleft HN, H\cap N\triangleleft H \\
H/H\cap N \cong HN/N }$$ - ↑で、HNはhnで生成される群なので、 $H\cup N$ よりも広くなる
- 第3同型定理: $G\supset H\supset N\land H\triangleleft G\land N\triangleleft G$ のとき、
$$\displaylines{
G/N&& \\
&\diagup& &\cong G/H\\ &&H/N }$$ - ↑の例: $(\mathbb{Z}/6\mathbb{Z})/(3\mathbb{Z}/6\mathbb{Z})\cong\mathbb{Z}/3\mathbb{Z}$
- 割るというのは潰すというイメージ
- 部分群の対応定理: $G\triangleright H$ としたとき、 $G\supset K\supset H$ となるKと、 $G/H$ の部分群の全単射が存在する
- また、これに合わせて $K\mapsto K/H$ と $\varphi^{-1}(L) ↤ L$ もある(ただし、 $\varphi$ は $G\to G/H$ の自然な準同型)
- $(\mathbb{Z}/40\mathbb{Z})/(20\mathbb{Z}/40\mathbb{Z})$ を含むsubgroupとしては、$d\mathbb{Z}/40\mathbb{Z}$ で、dが1,4,5,10,20のとき
- 群の直積: $$G_{1}\times G_{2}=\{(g_{1},g_{2})\mid g_{1}\in G_{1}, g_{2}\in G_{2})\}$$ で $$(g_{1},g_{2})\cdot(h_{1},h_{2})=(g_{1}h_{1},g_{2}h_{2})$$ になるもの
- ↑の単位元は $(1_{G_{1}},1_{G_{2}})$
- 例: $\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}\times\mathbb{Z}/6\mathbb{Z}=\{(\overline{0},\overline{0}),\dots,(\overline{3},\overline{5})\}$
- 群の直積の活用例:より小さい群の組み合わせの発見など。例えばGが群のとき、 $$ (H,K\triangleleft G) \land (HK=G)\land (H\cap K=\{1_{G}\}) \implies G\cong H\times K $$
- 中国剰余定理: m,nが2以上で互いに素な時、積の剰余群は剰余群の直積と同型、つまり $$ (\mathbb{Z}/mn\mathbb{Z})\cong(\mathbb{Z}/m\mathbb{Z})\times(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z}) $$
↑の例:$(\mathbb{Z}/15\mathbb{Z})\cong(\mathbb{Z}/3\mathbb{Z})\times(\mathbb{Z}/5\mathbb{Z})$ で、右辺で考えてペアを元ごとに足すとたとえば $$(\overline{2},\overline{1})+(\overline{2},\overline{3})=(\overline{1},\overline{4})$$ になるが、同じものを左辺で考えると $$\overline{8}+\overline{11}=\overline{4}$$ となって整合的であることが分かる
ラグランジュの定理: 有限群Gの位数は、その部分群Hの位数とG/Hの位数を掛けたもの、つまり $$|G|=|G/H||H|$$
- さらに、|H|は|G|の約数になっている
- 元の位数は群の位数の約数
雰囲気だけわかる現代数学
- 解析接続は、実数だと無限通り考えられるが、複素数だと一意(正則関数の性質より)
- 積分区間は実数だと一意だが、複素数だといくらでも積分路をとれるのとは逆
- リーマンゼータ関数の関数等式 $$\zeta(s)=2^{s}\pi^{s-1}\sin\left({\pi s\over2}\right)\Gamma(1-s)\zeta(1-s)$$
- 位数3の交代群の話は、三角形の頂点の入れ替えの問題に移し替えることもできる
AKITOの勉強チャンネル
集合論
- 巾(べき)集合
- ( #18に選択公理の動画があるが、まだよくわかってない)
山口大学大学院の数学講義
ルベーグ積分
- ジョルダン外測度: 平面上のなんらかの図形の面積を測りたい。そこでまず、幅εのメッシュで覆う。このとき、その図形を覆っているタイル全てを集めた面積。N枚なら、 $J_{O}(\varepsilon)=\varepsilon^{2}N$
- ジョルダン内測度: ↑で、完全に図形に含まれたタイルの合計面積 $J_{I}(\varepsilon)=\varepsilon^{2}N$
- ジョルダン測度: ↑でεを0に限りなく近づけていき、ジョルダン外測度とジョルダン内測度が一致する場合の値
- 有理数の[0,1]内の外測度は1、内測度は0。ゆえにこれはジョルダン可測ではない
- fat cantor setもジョルダン可測ではない
- ルベーグ外測度は、タイルの数を加算個許可する
- ただし、ルベーグ内測度を、ジョルダン内測度の加算無限個許可したバージョンとしようとするとうまくいかない。なぜなら、たとえば区間[0,1]の無理数全体を考えると、この中で取れる区間が1点集合の区間しか取れない(なぜなら、いくらでも近い場所に有理数があるから)
- 結局、内測度と外測度が一致するものとして定義するのは、できなくはないが困難を伴うので、外測度のみから測度を定義するのが近道
- また、disjoint unionによる測度より測度の和のほうが真に大きい、つまり $m^{*}(A\cup B)<m^{*}(A)+m^{*}(B)$ という事態が起こる。またこれは選択公理を仮定するとどうしても排除できないことも知られている
- では選択公理を仮定しなければいいのかというとそうでもなく、仮定しないと平行移動不変性が成り立たなくなるので、結局選択公理は仮定したほうが取り回しがきく
教授になりたい昆布【math and physics】
多様体論
- 多様体とは、図形の一般化
- 高次元と紐づかない形で情報を定めたい
- 距離は定義せず、位相空間を埋め込む
- 「各点pに対して、ある開近傍 $U_{p}$ をとってきて、 $U_{p}$ が $\mathbb{R}^{n}$ のある開集合と同一視できるなら、 $U_{p}$ の集合が図形」
- ↑で同一視とは、合同や相似ほど厳しくなくてよく、全単射かつ連続でさえあれば十分。つまり、位相空間論の同相の概念
- XとYが同相であることを $X\cong Y$ と書く
- 局所ユークリッド的:位相空間Mが局所ユークリッド的とは、 任意の $p\in M $ にたいして、 pの開近傍 $U_{p}$ と同相写像 $\varphi_{p}:U_{p}\to\varphi_{p}(U_{p})$ が存在すること
- ハウスドロフ的: 任意の異なる2元x,yに対し、x,yの開近傍Ux,Uyを $U_{x}\cap U_{y}=\phi$ となるように選べる
- 第二可算的: 加算個からなる開基が存在すること
- 位相多様体: 局所ユークリッド的、かつ、ハウスドロフ的、かつ、第二可算的(最後のは求めない流儀もある)
- ハウスドロフ的と第二可算的を導入する気持ちとしては、病的な例を取り除いて素直な存在だけで議論したい。本質的に重要なのは局所ユークリッド的であること
- n次元ユークリッド空間に写せる多様体をn次元位相多様体という
- チャート: 多様体の部分集合Uとユークリッド空間への同相写像Φのペア
- アトラス: 多様体全体をカバーするようなチャートの集合族
- 多様体から実数への写像が $C^{\infty}$ 級であることは直接は定義しにくい。そこで、ユークリッド空間に移し、逆写像で多様体に戻したときになんらかの値を対応させ、それを実数への写像のパラメータに乗せる、つまり $$f\circ \varphi^{-1}:\varphi(U)\to\mathbb{R}^{r}$$ が$C^{\infty}$ 級であることと定義したい
- $C^{\infty}$ 級両立: 共通部分を持つ2つのチャートが $C^{\infty}$ 級両立であるとは、 $\psi\circ\varphi^{-1}:\varphi(U\cap V)\to\psi(U\cap V)$ が $C^{\infty}$ 級写像であること
- $C^{\infty}$ 級多様体: 共通部分を持つ任意の2つのチャートが$C^{\infty}$ 級両立であること
- $C_{p}^{\infty}(M)$ の導入
- まずCinf級多様体M上のCinf級関数 MtoR 全体の集合を $C^{\infty}(M)$ とする
- さらに、点pの開近傍Uでf(x)=g(x)となるとき、 $f\stackrel{\sim}{p} g$ と書く
- そして、Cinf(M)を~pで割った商集合を $C_{p}^{\infty}(M)\equiv C^{\infty}(M)/\stackrel{\sim}{p}$
- 導分(人によっては微分)とは、$C_{p}^{\infty}(M)$ での、以下を満たす線形写像 $$\forall f,g \in C_{p}^{\infty}(M): D_{p}(fg)=D_{p}(f)g(p)+f(p)D_{p}(g)$$
- ちなみに、↑のような等式をライプニッツ則と言ったりする
- 接空間 $T_{p}M$ : 多様体Mの点pにおける導分全体の集合
接空間はベクトル空間になる
多様体上の偏微分はユークリッド空間の偏微分を使って以下のように定義する $$ {\partial f\over \partial x^{i}}:={\partial(f\circ \varphi^{-1})\over\partial r^{i}}(\varphi(p)) $$ $$ \left.{\partial\over\partial x^{i}}\right|_{p}\in T_{p}M $$
- また、クロネッカーのデルタを使って $$ {\partial x^{j}\over\partial x^{i}}(p)=\delta_{i}^{j} $$
- 偏微分たちは接空間を張る $$ \text{span}\left\{\left.{\partial\over\partial x^{i}}\right|_{p}:i=1,2,\dots,n\right\}= T_{p}M $$
- ↑を標準的な基底と呼ぶことにする
- 多様体間の写像の微分: 多様体MからNへの写像 $F:M\to N$ に対応する接空間の自然な写像を $F_{*p}:T_{p}M\to T_{F(p)}N$ とする
- 対応リスト
$$\displaylines{
v:&f&\to&vf&(\forall f\in C_{p}^{\infty}(M)) \\
F_{*p}v:&g&\to&(F_{*p}v)g&(\forall g\in C_{F(p)}^{\infty}(N)) }$$ - 写像の微分は線形写像、つまり $$F_{*p}(\alpha v+\beta w)(g)=(\alpha F_{*p}v+\beta F_{*p}w)(g)$$
- $F_{*p}v\in T_{F(p)}N$ を $$F_{*p}v=\sum_{j=1}^{m}b^{j}\left. {\partial\over\partial y^{j}}\right|_{p}$$ とすると、 $$b^{j}=\sum_{i=1}^{m}a^{i}\left[ {\partial(y^{j}\circ F)\over\partial x^{i}}\right] (p)$$
- 合成写像の微分は分割できる、つまり $$(G\circ F)_{*p}=G_{*F(p)}\circ F_{*p}$$
- 恒等写像について、 $(\mathbb{1}_{M})_{*p}=\mathbb{1}_{T_{p}M}$
- (※↑は圏論の恒等関手?)
- 多様体のベクトル場:多様体の各点pからその接空間TpMの元Xpへの写像
- ↑を局所座標表示すると $$X_{p}=\sum_{i=1}^{n}X^{i}(p)\left.{\partial\over\partial x^{i}}\right|_{p} \quad(X^{i}(p)\in\mathbb{R}) $$
- 接束→ベクトル束→ファイバー束?
- Cinf級多様体M上のCinf級ベクトル場全体の集合を $\mathfrak{X}(M)$ と書く
- $\mathfrak{X}(M)$ は左Cinf(M)加群
- (↑は環論の知識が必要?)
- カッコ積 $[\cdot,\cdot]$ を $[X,Y]:=XY-YX$ と定義する
- 点pにおけるベクトル場の値をYpとし、接ベクトルは関数を実数に対応付けるので、Yf: p↦YpfはCinf級になる
- なのでYfをXpに入れてXp(Yf)とできるので、(XY)p:f↦Xp(Yf)と定める
- そこで(XY)pがTpMの元だと嬉しいが、残念ながら一般にそうはならない
- ただ、(XY-YX)p:f↦Xp(Yf)-Yp(Xf)はTpMの元
- なので、[X,Y]:=p↦(XY-YX)pと定義すると、 $[X,Y]\in\mathfrak{X}(M)$ となる、つまりベクトル場になる
- Lie代数: ベクトル空間上のあるカッコ積の演算について、自身との演算が2重線形写像(2つの変数それぞれが線形写像)であり、反線型性を持ち、Jacob律をもつこと、つまり以下全てを満たすこと
$$\displaylines{
\begin{align}
&[\cdot,\cdot]:V\times V\to V \text{ is bilinear map} \\
&[X,Y]=-[Y,X]\quad(\forall X,Y\in V) \\
&[X,[Y,Z]]+[Y,[Z,X]]+[Z,[X,Y]]=0 \end{align} }$$ - 前述のカッコ積はLie代数の具体例の1つ
- 多様体の曲線の定義としては、「Cinf級の写像そのもの」だが、その像を曲線と呼ぶこともある
- 曲線の速度ベクトルは、ユークリッド空間に移してから考えると、その移す写像によって変化してしまう。そこで、接空間Tc(t)M での点の速度ベクトルを考えたい
- 曲線Cの速度ベクトルは、1次元の接空間は実数全体と同型なので、基底はd/dtしかありえない。そこで、押し出し(?)を使って以下で定める $$\dot{C(t)}=C_{*,t}\left({d\over dt}\right)$$
- k次コベクトル: k個のベクトルから実数へうつす写像のうち、k重線形かつ交代的なもの
- 1次コベクトルはたんに線形
- 微分形式: ベクトル場の相方のようなもので、ベクトル場が各点pに接ベクトルを対応させたものであるのに対して、k次微分形式は、各点pにk次コベクトルを対応させるもの
- k次微分形式は、k-形式またはk-formともいう
- M上のCinf級k-form全体の集合を $\Omega^{k}(M)$ と書く
- すべてのkの直和 $\oplus_{k=0}^{\infty}\Omega^{k}(M)$ を $\Omega^{*}(M)$ と書く
- 多様体の次元よりも大きい次数の微分形式は0だけになってしまう。なので通常、k-formとして議論の対象になるのは多様体の次元以下の次数まで
- 微分形式を局所表示すると、1-formは $$\omega=\sum_{i=1}^{n}a_{i}dx^{i}$$
- 2-formは1-form2つのウェッジ積で考えて、2重線形で交代的なので、 $$ \omega\land η (u_{1},u_{2}) = {1\over(1+1)!}[\omega(u_{1})η(u_{2})-\omega(u_{2})η(u_{1})] $$
- ↑で、(1+1)は1-form2つであるところからきている
- また、特定のチャート上の局所表示は $$\omega\land η = \sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n}a_{i}b_{j}dx^{i}\land dx^{j}$$
- 点pにおけるウェッジ積 $\{dx^{i}\land dx^{j}\}_{i,j=1,...,n}$ は $\Omega_{p}{}^{2}(M)$ の基底になる
- 一般k次の微分形式、k-formについては、
$$\displaylines{
\begin{align}
(\omega\land η)_{p}(u_{1},\dots,u_{k+l})=
{1\over(k+l)!}\sum_{σ\in S_{k+l}}\text{sgn}σ&\cdot\omega_{p}(u_{σ(1)},\dots,u_{σ(k)}) \\
&\cdot η_{p}(u_{σ(k+1)},\dots,u_{σ(k+l)}) \end{align} }$$
渡邉究 数学科准教授
環論
- 環(ring)とは、2つの2項演算が定義された代数体系で、和に関してアーベル群であり、結合法則、分配法則、乗法単位元があるものをいう
- さらに積に関しても可換であるものを可換環という
- 零環: 0のみからなる環。自明な環
- ZQRCは可換環
- 単元 or 単数(unit) or 可逆元(invertible element): 逆数が存在する元
- 単数群(unit group): 単数全てを集めた集合 $$U(R):=R^{\times}:=\{x\in R\mid x \text{ is unit}\}$$
- 斜体(skew field): 環の0以外の全ての元が単元になるもの
- 体(field): 可換環かつ斜体のもの
- 整数全体は可換環だが体ではない。逆数が整数ではないので。
- 一方で、有理数、実数、複素数全体はそれぞれ体
- 零因子(zero divisor): 可換環で、0以外の元に対して、かけると0になるもの。0そのものも一例。
- 冪零元(nilpotent element): 可換環で、自身を何乗かすると0になるもの。$\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}$ などは、$2\times 2$ が0になるので、冪零元
- 冪零元なら零因子
- 整域(integral domain): 零因子が0のみである可換環
- ↑の条件は言い換えると、2数の積が0であるなら、どちらかがかならず0であるもの
- 整数全体の集合になんらかの平方根 $\sqrt{d}$ を追加すると、これは和と積について閉じているのでこれも環になる。また、整域でもある
- 全行列環(full matrix ring): 正方行列全体の集合が環になる
- nを法として合同(congruence modulo n)
- Z/nZも環になる
- ベズーの等式(Bézout's identity): 自然数x,yとその最大公約数dについて以下が成り立つ $$\exists \alpha,\beta\in\mathbb{Z}\text{ s.t. } \alpha x+\beta y=d$$
- ↑はα、βが自然数だと存在しないが、片方を負数にすることでいくつも見つかる
- Z/nZにおいて、単数(可逆元)は、nと互いに素な元に限られる、つまり $$U(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})=\{\overline{x}\mid \text{gcd}(x,n)=1\}$$
- 逆に、単数でないことと、gcd(x,n)>1は同値であり、さらに零因子であることもまた同値
- さらに、Z/nZが体であること、整域であること、nが素数であることの3つはそれぞれ同値
- 多項式も、各次数をそれぞれ足し掛けることで演算が定義でき、これを多項式環という
- Z/3Zについて、 $(x+\overline{1})^{3}=x^{3}+\overline{3}x^{2}+\overline{3}x+\overline{1}=x^{3}+\overline{1}$
- ↑の例だけでいえば、freshman's dreamが成立していると言っていい?
- 代数学の基本定理(n次多項式の解は最大n個)は整域でないと成り立たない。つまり、 $f(x)\in R[x]\setminus\{0\}$ に対して、 $$\#\{a\in R\mid f(a)=0\}\leq\text{deg }f(x)$$
↑によって要するに、Z/4Zなども代数学の基本定理が成り立たない
- 環として $\mathbb{Z}\subset\mathbb{Q}\subset\mathbb{R}\subset\mathbb{C}$ であり、$\mathbb{Z}\subset\mathbb{Z}[\sqrt{d}]$
- 多項式環 $R[x_{1},\dots,x_{n}]$ は、$R$ を部分環として持つ
- また、多項式から偶数次の部分だけ取り出したものも部分環になる
- 環の直積は、2つの環のベクトルのような存在 $R_{1}\times R_{2}$
- イデアル(ideal): 環Rの部分集合Iのうち、和に関してRの部分群で、Rの元とIの元をどのように掛けてもIの元になる、つまり $$\forall r \in R, \forall x \in I: rx \in I$$
- ↑で非可換な環も考える場合、rxとxrを分けて左イデアルと右イデアルということもあるが、ここでは可換環を前提に進める
- R自身と0のみの1点集合は自明なイデアル
- IとRが異なるとき、真のイデアル(proper ideal)という
- 環論のイデアルは群論における正規部分群のように重要
- イデアルの例: 整数全体のうち、mの倍数だけ取り出したもの ($m\mathbb{Z}$)
- 逆に、Zのイデアルであれば、必ずmZと書ける
- Iが可逆元を含む場合、I=Rとなる
- 体のイデアルは自明なイデアルのみ
- 環Rの部分集合Sの線形結合がイデアルになるとき、Sにより生成されたイデアルという
- 有限集合で生成されたイデアルを有限生成イデアル(finitely generated ideal)という
- 特に、1点集合から生成されたイデアルを単項イデアル(principal ideal)という
- 単項イデアル環(principal ideal ring): 環Rの任意のイデアルが単項イデアルであるもの
- 単項イデアル整域(principal ideal domain, PID): 単項イデアル環かつ整域であるもの
- 有理整数環やK係数1変数多項式環はPID
- 環準同型写像(ring homomorphism): 写像 $f:R\to R'$ が以下の3つの条件を満たすとき
$$\displaylines{
\begin{align}
&(1)\quad f(x+y)=f(x)+f(y) \\
&(2)\quad f(xy)=f(x)f(y) \\
&(3)\quad f(1_{R})=1_{R} \end{align} }$$ - ↑の(3)は省く流儀もある
- 環同型写像(ring isomorphism): 環準同型写像の中でも、逆元がとれる写像、つまり $$\exists g: R'\to R \text{ s.t. } f\circ g = \text{id}_{R} \land g\circ f = \text{id}_{R}$$
- 同型(isomorphic)$R\cong R'$ : RとR'の間に同型写像が存在する場合
- 自己準同型写像(endomorphism): 自分自身への準同型写像
- 自己同型写像(automorphism): 自分自身への同型写像
自己同型群(automorphic group)$\text{Aut}(R)$ : 自己同型写像全体の集合(これは群になっている)
写像 $f:\mathbb{C}\to\mathbb{C};z\mapsto \overline{z}$ は体自己同型写像
- $f:\mathbb{Z}[\sqrt{d}]\to\mathbb{Z}[\sqrt{d}];a+b\sqrt{d}\mapsto a-b\sqrt{d}$ は環自己同型写像
- 環準同型写像の核はイデアル
- 環の準同型定理: $R/\text{Ker }(f)\cong\text{Im }(f); \overline{x}\mapsto f(x)$ が同型写像になる
- $\varphi:\mathbb{R}[x]\to\mathbb{R};f(x)\mapsto f(0)$ を考えると、f(0)はすべての実数を取りうるので全射
- ↑に準同型定理を適用すると、 $\mathbb{R}[x]/(x)\cong\mathbb{R}$
- 準同型写像 $\varphi:\mathbb{R}[x]\to\mathbb{C};f(x)\mapsto f(\sqrt{-1})$ を考えると、 $\text{Ker }(\varphi)=(x^{2}+1)$ なので、 $$\mathbb{R}[x]/(x^{2}+1)\cong\mathbb{C};\overline{f(x)}\mapsto f(\sqrt{-1})$$
- 素イデアル(prime ideal)$\mathfrak{p}$ : 環Rのイデアルの中でも、$$\mathfrak{p}\neq R$$ かつ $$\forall x,y\in R: xy\in \mathfrak{p} \implies x\in \mathfrak{p} \lor y \in \mathfrak{p}$$ なもの
- スペクトラム(spectrum) $\text{Spec}(R)$ : 環Rの素イデアル全体の集合
- $\text{Spec}(\mathbb{Z})=\{(p)\mid \text{p is prime number}\}\cup\{0\}$
- 素イデアルは素数みたいな立ち位置のもの
$\mathfrak{p}$ が素イデアルであることと、$R/\mathfrak{p}$ が整域であることは同値
極大イデアル(maximal ideal): 環Rのイデアル $\mathfrak{m}$ が Rと異なり、真のイデアルIがあるとき $\mathfrak{m}\subset I \implies \mathfrak{m}=I$
- 極大スペクトラム(maximal spectrum)$m-\text{Spec}(R)$ : Rの極大イデアル全体の集合
- m is maximal ideal $\iff$ R/m is field
- 極大イデアルなら素イデアル
- $\{a+bi\mid a,b\in 3\mathbb{Z}\}$ は $\mathbb{Z}[i]$ の極大イデアルである
- ↑の証明の途中で、 $a^{2}+b^{2}$ が3で割り切れないことを使う
- ツォルンの補題は選択公理と同値
- 環は常に極大イデアルを持つ
- 倍数(multiple)or 倍元: Rが整域のとき、xが倍数であるとは、 $\exists z \in R \text{ s.t. }x=yz$
- ↑でyを約数(divisor)or 約元 or 因子 $y|x$ (y divides x)
- yがxの約数であることと、 $(x)\subset(y)$ は同値
- 同伴(associate): 倍数の単数版、つまり $\exists u \in U(R) \text{ s.t. }x=uy$
- 一意分解整域(unique factorization domain, UFD): 整域Rの0でない任意の元xが単元であるか素元に分解できる、つまり $$\forall x \in R \setminus\{0\}: x \in U(R) \lor \exists p_{1},\dots,p_{n}\in R\text{ s.t. }x=p_{1}p_{2}\dots p_{n}$$
- ↑の例:有理整数環など。つまり素因数分解できるものの一般化
- UFDであることと、「0でない任意のxが既約元の積で表せること」と「既約元を使ってn個の積とm個の積が一致すればn=mかつ並び替え以外は一意であること」の2条件が満たされることは同値
- ↑の2番目の条件は数学的に言うと $$p_{1}p_{2}\dots p_{n}=q_{1}q_{2}\dots q_{m}\implies n=m\land \exists σ \in S_{n}:p_{σ(i)}\sim q_{i}$$
- UFDの場合、素元と既約元は同じ
- ユークリッド環(Euclidean ring): 整域Rの任意の元が積と和の組み合わせで表現でき、写像dの像で小さいものがある(?)、式では $$\forall x\in R,\forall y \in R\setminus\{0\},\exists q,r\in R:[x=qy+r]\land [r=0\lor d(r)<d(y)]$$
- ↑は剰余の定理が成り立つようなもの
- (第2条件はなぜ必要?※)
- ユークリッド環はPID
- RがPIDで、Rの元pが既約元のとき、(p)が極大イデアルになる
- 同じく、RがPIDのとき、Rの0でない素イデアルは極大イデアルになる
- PID$\implies$ UFD
- 体上の多項式環はユークリッド環
- $\mathbb{Z}[\sqrt{-1}]$ はユークリッド環
$\mathbb{Z}[{1+\sqrt{-19}\over 2}]$ はPIDではあるがユークリッド環ではない
商体(quotient field): 体Kの任意の元が、整域Rの2つの元a,bと、単射準同型写像ι(イオタ)を使って像と像の逆数の積で表せること、つまり $$\exists\iota:R\to K\text{ s.t. } \forall x \in K, \exists a\in R, \exists b \in R\setminus\{0\}: x=\iota(a)\iota(b)^{-1}$$
- ↑は、要するに整数2つを分母と分子において分数を作る(=有理数を作る)ということに対応している
- 有理数は整数の商体
- 素体(prime field): 体Pの部分体がP自身しかないもの
- 有理数全体Qは素体
- 素数pに対して、Z/pZは素体
- 体Kに対して、その素体は常に1つのみ存在する
- 標数(characteristic)$\text{char}(K)$: 体Kの素体が有理数全体Qであるとき0に、 Z/pZのときpと定める値
- 体Lとその部分体Kについて、両者の素体は一致する。そのため、char(L)=char(K)
- ↑より、char(Q)=char(R)=char(C)=0
- 正標数: 標数のうち1以上のもの
- フロベニウス写像(Frobenius map): 標数pの体Kについてp乗を定める写像 $F:K\to K; x\mapsto x^{p}$
- フロベニウス写像は体準同型写像
- $\mathbb{Z}/p\mathbb{Z}$ のことを略して $\mathbb{F}_{p}$ ともかく
- 有限体(finite field): 元の個数が有限な体
- 有限体は必ず正標数であり、元の個数は標数pのベキ乗になる
- ただし、正標数だが有限体でない体は存在する。 $\text{char}(\mathbb{F}_{P}(x))=\text{char}(\mathbb{F}_{P})=p$ など
- 最大公約数、最小公倍数も整域の中で議論できる
- ただし、gcdは必ずしも存在しない。例: $\mathbb{Z}[\sqrt{-3}]$ での $x=4,y=2\cdot(1+\sqrt{-3})$
- 一方で、UFDにはgcdが必ず存在する
- 内容(content): 多項式f(x)の係数すべての最大公約数
- 原始的(primitive): 内容が1と同伴になる場合、つまり $c(f)\sim 1$
- ガウスの補題: RがUFDのとき、 $\forall f(x), g(x)\in R[x]:c(f)\sim 1,c(g)\sim 1\implies c(fg)\sim 1$
- ↑の一般化として、 $\forall f(x), g(x)\in R[x]:c(fg)\sim c(f)c(g)$
- ↑のほうをガウスの補題ということもある
- pが素元ならR[x]においてもpは素元
- ガウスの定理: RがUFDなら、R[x]もUFD、変数を増やしてR[x1,...,xn]もUFD
- アイゼンシュタインの既約判定法: 整数係数多項式に対して、最高次の係数は割り切らず、それ以外の係数は割り切って、なおかつその数の2乗が定数項を割り切らないとき、f(x)は有理数多項式の素元になる、つまり $p \nmid a_{n}, p\mid a_{i}, p^{2}\nmid a_{0}$
- R加群 (R-module): 環Rに対するアーベル群Mと写像 $\mu:R\times M\to M$ のペアのうち、RとMの元を任意に取ってμで飛ばしても線型性が保たれること、つまり
$$\displaylines{
\begin{align}
&\forall a, b\in R, \forall x,y\in M: \\
&(i)\quad \mu(a,x+y)=\mu(a,x)+\mu(a,y) \\
&(ii)\quad \mu(a+b,x)=\mu(a,x)+\mu(b,x) \\
&(iii)\quad \mu(ab,x)=\mu(a,bx) \\
&(iv)\quad\mu(1x)=\mu(x) \end{align} }$$ - 体Kに対してVがK上のベクトル空間であることは、VがK加群であると言い換えられる
- 環RのイデアルIはR加群
- R加群Mの部分集合Sの元とRの元の線形結合で作られる加群を、Sにより生成されたR加群という、つまり $$\langle S\rangle_{R}:=\{a_{1}x_{1}+\dots a_{n}x_{n}\mid n\in\mathbb{N}, a_{i}\in R,x_{i}\in S \forall i\}$$
- 有限生成(finitely generated): 有限集合によって生成されること