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気まぐれに大まかに生きるブログ

オンライン数学学習メモ

メモ書き 「​」

『数学:物理を学び楽しむために』 (田崎晴明氏)

  • 未解決問題はいくらでも作り出せる。例えば $\sqrt{2}$ の十進展開で1が連続して1兆回並ぶ箇所かあるかどうかなど。
  • 集合はダブっていても同じものとして扱う: $\{1,2,3,4\}=\{1,1,2,2,3,4,4\}$
  • ゼータ関数: s乗の逆数の無限和 $$ \zeta(s):=\sum_{n=1}^{\infty}{1\over n^{s}} $$
  • 2次関数の微分*1は $$ f(x_{0}+\Delta x)-f(x_{0})=(2ax_{0}+b)\Delta x + a(\Delta x)^{2} $$
  • ↑で、微分量が比例しつつ0に近づくことを大文字のOで表記 *2 (ただし、2階微分可能な時のみ) $$ f(x_{0}+\Delta x)-f(x_{0})=f'(x_{0})\Delta x + O( (\Delta x)^{2}) $$
  • 関数の商の導関数の特殊な場合として、逆数の導関数は $$ {d\over dx}\left({1\over f(x)}\right)=-{f'(x)\over [f(x)]^{2}} $$
  • $o(\Delta x)$ に非ゼロのなにかをかけても $o(\Delta x)$ のまま
  • $e^{x}$ の微分が $e^{x}$ なのは、(直感的には)無限級数の各項目を微分して1が0に、xが1に、x2がxに、と、結局すべての項が1個左にずれただけで無限の項が残るので、結果が同じと見ることもできる
  • 双曲線関数は $$\displaylines{ \text{co​sh}(x)={e^{x}+e^{-x}\over 2} \\
    \text{si​nh}(x)={e^{x}-e^{-x}\over 2} \\
    \text{ta​nh}(x)={\text{si​nh}(x)\over\text{co​sh}(x)}={e^{x}-e^{-x}\over e^{x}+e^{-x}} }$$
  • 積分の微小量を表す $dx$ などは、高校数学では後ろに書くことが多いが、多重積分などを考えると先に書く $\int dx f(x)$ ほうが便利。ただ、意味は同じなので究極どちらでもよい
  • 物理で、時間tについての導関数を記述するとき、 $f'(x)$ のかわりに $\dot{f}(t)$ と書く習慣になっている
  • 半減期half-life): $$t_{HL}:={\log 2\over\gamma}$$
  • ${}^{14}C$ の半減期は5730年。これを使って年代測定を行う。ただし、1950-60年代に核実験が相次いだことで、大気中の ${}^{14}C$ が大幅に増えてしまい、20世紀後半以降の植物・化石などに対してはこの方法は使えない
  • ラグランジュ恒等式: $$(a\times b)\cdot(c\times d)=(a\cdot c)(b\cdot d)-(a\cdot d)(b\cdot c)$$
  • 行列のトレースは線形、つまり $$\text{tr}(\alpha A+\beta B) = \alpha\text{tr}(A)+\beta\text{tr}B$$
  • また、トレースに関しては、行列の交換法則が成り立つ、つまり $$\text{tr}(AB)=\text{tr}(BA)$$
  • 上三角行列の行列式は、対角成分の総乗に等しいので、そうなるように変形すると簡単に求められることがある(分数がいっぱい出てきて、かえって面倒になる可能性もある)
  • d次の正方行列Aの固有値をλで表すと、トレースは固有値の総和、行列式固有値の総乗になる、つまり $$\displaylines{ \text{tr}(A)=\sum_{i=1}^{d}\lambda_{i} \\
    \text{det}(A)=\prod_{i=1}^{d}\lambda_{i} }$$
  • 行列Aが正方行列のとき、以下が成り立つ(証明にはシューア分解を用いることができる) $$\text{det}(e^{A})=e^{\text{tr}(A)}$$

学びタイムス

集合論

  • 同値関係 $\sim$ は $=$ の一般化と捉えてもよい
  • 濃度に関して、 $|2^{\mathbb{N}}|=|[0,1)|=|\mathbb{R}|$ を証明するために、ベキ集合の要素 $A\in 2^{\mathbb{N}}$ に対し、 $$ f(A)=\sum_{n\in A} {1\over 2^{n}} $$ を定めると、値の範囲は0から1の間だが、自然数ベキ集合から要素を選ぶ=自然数から組み合わせを1つ選ぶことは、小数の2進数展開において各桁の0or1の状態を全て定めることに相当するため、fが全単射になる、したがって $|2^{\mathbb{N}}|=|[0,1)|=|\mathbb{R}|$ *3

代数

  • 集合Gと二項演算子 $\cdot$ が結合法則を満たし、単位元と逆元を持つとき、 $(G,\cdot)$ のペアを群という
  • ↑の例:実数と足し算、実数と0を除いた掛け算、置換と置換積、直交行列と行列積、など
  • ※群について基礎知識が不足している、要調査
  • 環とは、足し算と掛け算が機能する代数のこと。群は二項演算子1つだけ成り立てばよかったが、環は2つ必要
  • さらに、ab=baが成り立てば可換環
  • 可換環の例:整数、多項式など。それぞれ整数環、多項式環と名前がついている
  • 終結式(Resultant): 2つの多項式P(x),Q(x)に対して、それぞれの式の最高次の係数の「相手の式の最高次の次数乗」同士の積と、それぞれの式の解の差の組み合わせの総乗との積、つまり $$ \text{Res}(P,Q)a_{0}^{m}b_{0}^{n}\prod_{i,j}(\alpha_{i}-\beta_{j}) $$
  • 終結式はシルベスター行列の行列式と等しい
  • 超幾何級数(Hypergeometric series): aから始まる連続したn個の整数の積(a)n(ポッホハマー記号)を分子に、同じく(b)nを分母にし、nの階乗分のzのn乗を掛けたものを用意する。これをn=0から無限大まで足したもの、つまり $$ {}_{r}F_{s}(a_{1},\dots,a_{r};b_{1},\dots,b_{s};z)=\sum_{n=0}^{\infty}{(a_{1})_{n}\dots(a_{r})_{n}\over(b_{1})_{n}\dots(b_{s})_{n}}{z^{n}\over n!} $$
  • 例えばe,cos, arctanなどの初等関数の多くは超幾何級数を使って表現可能 $$\displaylines{ e^{z}={}_{0}F_{0}(;;z) \\
    \cos z={}_{0}F_{1}\left(;{1\over 2};-{z^{2}\over 4}\right) \\
    \text{arc​tan } z=z\cdot{}_{2}F_{1}\left({1\over 2},1;{3\over 2};-z^{2}\right) \\
    }$$

線形代数

  • 2次の正方行列の行列式は、2本のベクトルが張る平行四辺形の面積と同じ
  • 3次の正方行列の行列式は、3本のベクトルが張る平行六面体の体積と同じ
  • 4次以上も同じことが言えるが、直感的に見て取るのは難しい
  • スカラー三重積 $a\cdot(b\times c)$ は、ベクトルの要素を横に並べてベクトル自体を縦に並べた3次正方行列の行列式に等しい。同時に、少し上で書いたことを踏まえて、平行六面体の体積とも等しい。
  • ベクトル三重積もある: $a\times(b\times c)$ こちらは、bとcに垂直なベクトルとaと垂直なベクトルなので、結局b,cが張る平面の中にベクトルが戻ってくる
  • 行列が正則であることは、実数が0でないことのように、割り算ができてうれしいという気持ちがある
  • 余因子行列: 正方行列のすべての項に対して余因子を計算してその値で置き換え、転置したもの
  • 余因子行列を使うことで逆行列を求めることもできる。具体的には、正則な行列Aの余因子行列 $\tilde{A}$ を元の行列Aの行列式で割る、つまり $$ A{\tilde{A}\over\text{det }A}=I $$
  • 行列AとBの内積は、Aと転置されたBの積のトレースに等しい、つまり $$ \text{tr }AB^{t}=\sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n}a_{ij}b_{ij} $$
  • ケーリーハミルトンの定理 $$\displaylines{ \begin{align} A^{2}-(a+d)A+(ad-bc)I=O&\text{ (2次の場合)} \\
    A^{3}-(\text{tr }A)A^{2}+cA-(\text{det }A)I=O&\text{ (3次の場合)} \end{align} }$$
  • フロベニウスノルム: 行列の全成分の2乗和のルート、つまり $$ \|A\|_{F}=\sqrt{\sum_{i,j}a_{ij}^{2}} $$
  • ↑はトレースとも関係があって、 $\|A\|_{F}^{2}=\text{tr }(AA^{t})=\text{tr }(A^{t}A)$
  • 二次形式: すべての項が2次である多項式、 $2x^{2}+xy+3y^{2}$ など。
  • 二次形式は、係数をプロットした対称行列Aとの積 $x^{t}Ax$ として表される。↑の例でいうと $$ 2x_{1}^{2}+x_{1}x_{2}+3x_{2}^{2}= x^{t}Ax= (x_{1},x_{2}) \left( \begin{array}. 2 & {1\over 2} \\
    {1\over 2} & 3 \end{array} \right) \left( \begin{array}. x_{1} \\
    x_{2} \end{array} \right) $$
  • きれいな2次形式: 2乗の項のみで構成された二次形式
  • きたない2次形式: 複数の変数が掛け合わされた項を持つ二次形式
  • Aが半正定値のとき、数式としては $A\succeq O$, 正定値のときは $A\succ O$, 逆向きの記号は $\prec$
  • 正方行列Aが正則なら、Aのカーネルはゼロベクトルのみ。また、逆も成り立つ
  • ↑で、 $\Rightarrow$ はカーネルの定義 $Ax=0$ に逆行列を掛けることで、 $\Leftarrow$ は次元定理から
  • テンソル積 $\otimes$ : 内積の拡張。内積は双線型性を持つが、線型性はなかった。これに線型性を持たせたい需要から生まれた概念
  • $\mathbb{R}^{3}\otimes\mathbb{R}^{3}$ の定義: 集合としては $$ \mathbb{R}^{3}\otimes\mathbb{R}^{3} = \left\{ \sum_{i=1}^{3}\sum_{j=1}^{3}c_{ij}(e_{i}\otimes e_{j})\mid c_{ij}\in\mathbb{R} \right\} $$ で、ベクトルv,wが係数a,bとeの線形結合として表せるとき、 $$ v\otimes w = \sum_{i=1}^{3}\sum_{j=1}^{3} a_{i}b_{j}(e_{i}\otimes e_{j}) $$
  • テンソル積の基底 $e'_i f'_j$ と $e_k f_l$ の取り換えは、 $$\displaylines{ \begin{align} e'_{i}\otimes f'_{j}&= \left(\sum_{k}a_{ik}e_{k}\right) \otimes \left(\sum_{l}b_{jl}e_{l}\right) \\
    &=\sum_{k,l}a_{ik}b_{jl} e_{k}\otimes j_{l} \end{align} }$$

線形方程式

  • 正規方程式: まず動機として、方程式 $Ax=b$ が解を持たないときでも、解にできるだけ近いxを探したい。そこで、 $\|Ax-b\|$ が最小になるxは一意で、両辺にAの転置行列を掛けることで求められる、つまり $$A^{t}Ax=A^{t}b$$ これを正規方程式という。ただし、 $A^{t}A$ が正則であることが条件
  • 最小ノルム解(原点に最も近い解): $Ax=b$ を満たすxの中で、xのノルム $\|x\|$ が最小になるもの $x_{*}$ は $$x_{*}=A^{t}(AA^{t})^{-1}b$$
  • $Ax_{0}=b$ を満たす任意の $x_{0}$ から $(\text{ker }A)^{\perp}$ に直行射影すると $x_{*}$ 、つまり最小ノルム解になる。わかりやすい図がある
  • ムーア・ペンローズの疑似逆行列(Moore–Penrose Generalized Inverse)$A^{+}$ : 逆行列の一般化で、以下4つの性質を満たすBのこと $$\displaylines{ ABA=A \\
    BAB=B \\
    (AB)^{*} =AB \\
    (BA)^{*} =BA }$$ ただし、ここで${}^{*}$ は随伴行列
  • 正則な正方行列の疑似逆行列は、通常の逆行列と一致、つまり $A^{+}=A^{-1}$
  • Aが行に関して線形独立のとき、$Ax=b$ を満たす最小ノルム解は $x=A^{+}b$
  • QR分解: 任意の正方行列Aは、ユニタリ行列Qと上三角行列Rの積で表せる $A=QR$
  • ↑の利用例としては、行列式の素早い導出、固有値の近似、最小二乗法の簡単な解法など

対角化・べき乗

  • 行列Aを対角化するには、固有値を求め、固有ベクトルを列として並べた行列をPとし、 $PAP^{-1}$ とすると得られる。ただし、固有ベクトルがすべて線形独立であることが条件
  • 対角化された行列はもとの行列と相似なものの中で最もシンプル
  • 対角化した行列Dを使うと行列のn乗が簡単に計算できる $A^{n}=PD^{n}P^{-1}$
  • 同時対角化可能とは、同じ正則行列Pによって、 $PAP^{-1}$ と $PBP^{-1}$ がともに対角行列になること
  • 2つの対称行列が交換可能な場合、つまり $AB=BA$ のとき、AとBは同時対角化可能。また逆も成り立つ
  • 量子力学において同時対角化可能であることは、2つの物理量が同時観測可能であることを意味している
  • スペクトル分解とは、(エルミート行列やユニタリー行列などの)正規行列は、固有値と射影行列の積の総和に分解できること、つまり $$ A=\sum_{i=1}^{N}\lambda_{i}P_{\lambda_{i}} $$
  • ジョルダン標準形: 対角成分が非ゼロで、その上が1である、という小行列の組み合わせに分解でき、それ以外の要素がすべて0である行列。たとえば $$ \left( \begin{array}. 9&1&0 \\
    0&9&0 \\
    0&0&4 \end{array} \right) $$ は、 $J(9,2), J(4,1)$ によるジョルダン標準形。
  • ジョルダン標準形の意味としては、対角化できない行列が、できるだけ対角化に近い形にしたい場合にジョルダン標準形で妥協できることがある
  • 行列の指数関数は、スカラーのようには定義できない。そこで、マクローリン展開の形を流用して以下のように定義する $$ e^{A}=I+A+{A^{2}\over 2!}+{A^{3}\over 3!}+\dots $$
  • これにより、行列のサイズが1のときは通常の指数関数の定義と一致する
  • 対角行列の場合は、それぞれの要素がスカラーの指数関数と一致するので、要素をeの肩に乗せるだけで計算が完了する
  • ゆえに、対角化可能な行列は対角化すると計算が早い
  • 行列の指数関数の行列式は、eのトレース乗、つまり: $\text{det }(e^{A})=e^{\text{tr }A}$
  • $e^{A+B}=e^{A}e^{B}$ は $AB=BA$ のときのみ成立
  • 行列の指数関数を求めたいものの対角化できない場合、まずジョルダン標準形に変換し、対角成分とそれ以外の和に分ける。それをeの肩に乗せて計算するが、↑より個別の指数関数に分解できる。これを計算する
  • 行列の指数関数の応用例:連立微分方程式の解決、リー環の計算など

いろいろな行列

  • 上三角行列と下三角行列は、積と逆行列について閉じている
  • トレース、行列式固有値、ランクは転置しても変わらない
  • また、正則なとき、転置の逆行列逆行列の転置と同じ: $(A^{t})^{-1}=(A^{-1})^{t}$
  • 直交行列とは、行列式が $\pm 1$ であること、またこれの言い換えとして、その行列の逆行列も直交行列であること、直交行列同士の積も直交行列であること、行も列も正規直交基底であること
  • 対称行列の固有ベクトルは直交する。ここから、対称行列は直交行列によって対角化できることが導かれる
  • 交代行列とは、転置するとマイナス1倍になる行列、つまり鏡合わせの位置にある要素が互いにマイナス1倍の関係にあって、対角成分が0の行列のこと
  • ユニタリー行列とは、転置して、すべての要素を複素共役にしたものが、元の行列の逆行列になっているもの
  • ↑で虚部がない場合、直交行列と一致する
  • ユニタリー行列は、内積を変えない変換行列であるという意味合いが重要
  • エルミート行列は、転置して複素共役を取ると自分自身になる行列。対称行列の複素数版ともいえる
  • 正規行列とは、自身と自身の随伴行列(共役転置)との積が交換法則が成り立つ行列、つまり $A^{*}A=AA^{*}$
  • 正規行列の中でも特に直交・ユニタリー・対称・エルミート・歪対称・歪エルミートの6種が重要
  • 歪エルミート行列とは、転置して複素共役を取ると自分自身のマイナス1倍になる行列
  • 正規行列であることは、ユニタリー行列で対角化できることと必要十分
  • 射影行列とは、2乗しても変わらない行列、つまり $P^{2}=P$
  • 2次の射影行列は、図形的には1次元の直線への(文字通り)投影になっている
  • 射影行列かつ対称行列なものを直行射影行列という
  • 巡回行列: 斜め方向に同じ値が並んだ行列、たとえば $$ \left( \begin{array}. p&q&r \\
    r&p&q \\
    q&r&p \end{array} \right) $$
  • 三重対角行列: 対角成分と、それに隣接している項以外が0の行列
  • アダマール行列: すべての要素が $\pm 1$ の正方行列で、各行が直交するもの

    マニアック

  • ブロック行列はたとえば $$ \left( \begin{array}{cc|c} p&q&r \\
    r&p&q \\
    \hline q&r&p \end{array} \right) $$

高校数学+α

  • 指数関数の逆関数としての複素対数関数は一意に定まらない。なぜなら、eの肩に乗せる値に $2\pi i$ を加えても同じになる。なので定義としては $$\log z = \log |z| + i \text{ arg }z$$ ただし、argは偏角で、任意の整数nに対して $2n\pi$ を加えても等式は成立する(多価関数)
  • ↑で困る場合は、 arg zを $-\pi<\text{ arg }z\leq \pi$ に制限して1つに絞ることがある、これを主値という
  • これを使って $i^{i}$ を計算すると主値は $e^{-{\pi\over 2}}$
  • 一般化二項定理: 絶対値が1より小さい複素数xと、任意の複素数αをつかうと、 $$ (1+x)^{\alpha}=1+\alpha x + {\alpha(\alpha-1)\over 2!}x^{2}+\dots $$
  • ↑でαが自然数の場合、普通の二項定理
  • ディリクレの関数の別定義: $$f(x)=\lim_{n\to\infty}\{\lim_{k\to\infty}\cos^{2k}(2!\pi x)\}$$
  • 直交多項式: 多項式P(x),Q(x)が直交であるとは、それら多項式の積の積分が0になる積分区間[a,b]と重み関数w(x)があること、つまり $$\int_{a}^{b}P(x)Q(x)w(x)dx=0$$
  • ベクトルが直交であることは内積が0であることだが、多項式でそれに対応するのが↑の定義
  • 直交多項式の例:チェビシェフ多項式ルジャンドル多項式、エルミート多項式、ラゲール多項式など
  • 2点間の線形補完の誤差の最大値は以下のように定まる $${(x_{2}-x_{1})^{2}M\over 8}$$ ただし、 $M=\max_{x_{1}\leq x\leq x_{2}}|f''(x)|$ かつ関数が $C^{2}$ 級であること

収束・連続性・微分可能性

  • 元の級数が収束しても絶対収束するとは限らない、例えば交代級数は収束するが、各項で絶対値を取って足すと無限大に発散する。このような場合は条件収束という
  • 絶対収束だと、数列の並べ替えをしても結果が同じなので扱いやすい
  • 条件収束の数列は、意図的に並び替えることで任意の値に収束させることができる(リーマンの再配列定理)
  • 触点=集積点+孤立点?*4
  • 有限部分被覆のイメージをつかむための例え:日本地図メッシュ・張り合わせた天文写真?
  • コンパクトと有界区間は、ユークリッド空間でのみ必要十分。距離空間では単に十分条件。一般の位相空間では何も言えない。
  • 2階微分の交換法則が成り立つ $f_{xy}=f_{yx}$ ための条件は、 $C^{2}$ 級関数であることだが、実は $f_{xy},f_{yx}$ が存在していて両方とも連続ならそれでも成り立つ
  • $C^{\infty}$ 級より上の概念として、 $C^{\omega}$ 級というのがあり、テイラー展開可能という意味。$C^{\omega}$ 級なら $C^{\infty}$ 級だが、逆は成り立たない
  • ※lim sup, lim infはまだよく理解できてない、再調査必要
  • ワイエルシュトラスのM判定法も再調査

多変数関数と微分

  • 負定値の定義に注意。行列のマイナス1倍が正定値でなければならない。行列そのままの首座小行列式がすべて負であっても該当するとは限らない。

積分

  • 機関数の有限な区間積分は0だが、正負無限大の広義積分は0になるとは限らない
  • ガンマ関数とは、以下のもの $$ \Gamma(x)=\int_{0}^{\infty}t^{x-1}e^{-t}dt $$
  • ガンマ関数は階乗の一般化ともいえる。なぜなら $\Gamma(n+1)=n!$
  • n次元単位超球の体積は、ガンマ関数を使って以下のように表せる $$ V_{n}={\pi^{n\over 2}\over\Gamma({n\over 2}+1)} $$
  • ガウス積分: $$\int_{-\infty}^{+\infty}e^{-ax^{2}}dx=\sqrt{\pi\over a}$$
  • ↑を多変数に一般化したものは $$ \int\exp\left(-{1\over 2}x^{\top}Ax+b^{\top}x\right)dx= \sqrt{(2\pi)^{2}\over\text{det }A}\exp\left({1\over 2}b^{\top}A^{-1}b\right) $$
  • 楕円の周の長さは、長軸2a短軸2bで ${x^{2}\over a^{2}}+{y^{2}\over b^{2}}=1$ のとき、 $$ L=2\pi a\left(\sum_{t=0}^{\infty}c_{t}^{2}{\epsilon^{2t}\over 1-2t}\right) $$ ただし、イプシロンは離心率で $\epsilon^{2}=1-{b^{2}\over a^{2}}, c_{t}={(2t-1)!!\over 2t!!}$
  • ↑を適当な有限項で打ち切ると近似できるが、素のままだと近似が遅いため、Gauss-Kummerの公式やCayleyの公式で代用されることもある
  • 連続関数で可積分または非負のとき、逐次積分と重積分は一致する、また、積分の順番を入れ替えてもよい(フビニ・トネリの定理)

いろいろな関数

  • ワイエルシュトラスのペー関数 $$ \wp(z)={1\over z^{2}}+\sum_{\omega\in\Lambda\setminus\{0\}}\left({1\over(z-\omega)^{2}}-{1\over\omega^{2}}\right) $$ を理解するには、楕円関数、項別微分、二重周期、位数、ローラン展開あたりの知識が必要、要調査※
  • このセクションは内容が高度なため、必要な知識を仕入れたら再読

ルベーグ積分

フーリエ変換

  • フーリエ級数展開: 周期Tのまともな(※詳細が略されている)関数を三角関数の和で表す方法で、 $$ f(x)={a_{0}\over 2}+\sum_{n=1}^{\infty}\left(a_{n}\cos{2\pi nx\over T}+b_{n}\sin{2\pi nx\over T}\right) $$ ただし、 $$\displaylines{ a_{n}={2\over T}\int_{0}^{T}f(x)\cos{2\pi nx\over T}dx \\
    b_{n}={2\over T}\int_{0}^{T}f(x)\sin{2\pi nx\over T}dx \\
    }$$
  • ↑を複素指数関数でいうと $$ f(x)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}c_{n}\exp\left({2\pi inx\over T}\right) $$ ただし、 $$ c_{n}={1\over T}\int_{0}^{T}f(x)\exp\left(-{2\pi inx\over T}\right)dx $$
  • フーリエ級数展開を周期関数以外にも適用したいとの考えのもと、可積分関数f(x)のフーリエ変換は $$ \hat{f}(\xi)=\int_{-\infty}^{\infty}f(x)e^{-ix\xi}dx $$
  • フーリエ変換によって、微分とix倍が交換可能に $$\displaylines{ {d\over d\xi}\hat{f}(\xi)=\widehat{-ixf}(\xi) \\
    (i\xi)\cdot\hat{f}(\xi)=\widehat{f'}(\xi) }$$
  • 積と畳み込みの交換 $$\displaylines{ \widehat{f\ast g}(\xi)=\hat{f}(\xi)\hat{g}(\xi) \\
    \widehat{fg}(\xi)={1\over 2\pi}(\hat{f}\ast\hat{g})(\xi) }$$
  • リーマン・ルベーグ補題: 関数の高周波成分はどんどん小さくなっていく $$ \lim_{\xi\to\pm\infty}\hat{f}(\xi)=0 $$

複素関数

  • 複素積分は、積分複素数に拡張して考える
  • なめらかな曲線とは、 $C^{1}$ 級で、接線が一意に定まること
  • マイナスをつけて曲線の逆方向、足し算で前の終点に次の始点を付けた曲線に
  • なめらかな曲線Cの積分は、パラメータc(t)と始点a終点bを使って $$ \int_{C}f(z)dz=\int_{a}^{b}f(c(t))c'(t)dt $$
  • 任意の点でなめらかでなくても、有限の点をのぞいてなめらかな場合は区分的になめらかという
  • 被積分関数が正則(ある点の近傍の任意の点で微分可能)なとき、線積分は経路にかからわず始点と終点が同じなら結果が一致する
  • 閉曲線: 始点と終点が一致するもの
  • 単純閉曲線: 途中で自身と交わらない閉曲線
  • 積分積分経路が閉曲線のとき、これを周回積分といい、記号として $\oint$ を使う
  • グリーンの定理: 単純閉曲線Cと、それに囲まれた領域D上の任意の2つの $C^{1}$ 級関数P,Qに対して、以下が成り立つ $$ \oint_{C}(P(x,y)dx+Q(x,y)dy)=\iint_{D}\left({\partial Q\over\partial x}-{\partial P\over\partial y}\right)dxdy $$
  • 単連結: つながっていて穴がないこと
  • コーシーの積分定理: 単連結な領域D上の正則複素関数fと、D上の単純閉曲線Cがあるとき、Cの周回積分は0、つまり $$ \oint_{C}f(z)dz=0 $$
  • ↑の証明には、グリーンの定理を使って計算してもいいし、原始関数で始点と終点を引いて0になることを使ってもいい(ただし本来は、原始関数が必ず存在することの証明が必要で、それは割と難解)
  • 表記としてここでは、 $\Delta(z_{0},R)$ を中心z0半径Rの円盤、単に $\Delta$ なら単位円、 $\partial D$ をDの周、 $\overline{D}$ を周まで含めた領域とする
  • コーシーの積分公式: 単純閉曲線とその周上の正則な関数fは、任意の点zで以下が成り立つ $$ f(z)={1\over 2\pi i}\oint_{\partial D}{f(\zeta)\over\zeta-z}d\zeta $$
  • ↑でゼータの意味は?※
  • 複素関数の場合、1階微分可能なら何回でも微分可能
  • ローラン展開(Laurent展開): 正則な複素関数のべき級数展開は $$ f(z)=\sum_{-\infty}^{\infty}a_{n}(z-a)^{n} $$ ただし、 $$ a_{n}={1\over 2\pi i}\oint_{|z-a|=r}{f(z)\over (z-a)^{n+1}}dz $$
  • ローラン展開テイラー展開の拡張
  • 関数全体が正則ならテイラー展開を使えばよいが、そうでない場合、点の付近のみ正則な場合にローラン展開が使える
  • 孤立特異点: 全体としては正則ではないが、ある1点を除くと正則になるその1点。
  • ↑の例はgoogle mapのピンのようなものというより、領域の内部のある1点というイメージ
  • 留数とは、その点の周りで周回積分した時の値のことで、Dが単連結、CがDの中にある区分的になめらかな単純閉曲線、aがCの中にあるとき $$ \text{Res}(f,a)={1\over 2\pi i}\oint_{C}f(z)dz $$
  • ↑の値はCによらない(コーシーの積分定理より)。また、1/2πiは、他の定理をシンプルに書くための便宜的定数
  • 留数定理: 有限n個の特異点周りの周回積分を全て足すと、それを包み込む曲線の周回積分になる、つまり $$ {1\over 2\pi i}\oint_{C}f(z)dz=\sum_{i=1}^{n}\text{Res}(f,a_{i}) $$

  • 留数が計算できれば積分が計算できる

  • 複素平面全体で正則な関数を整関数と言う
  • リウヴィルの定理: 有界な整関数は定数関数のみ
  • ↑を使って代数学の基本定理(n次方程式はn個の解を持つ)が証明できる
  • リーマン球面 $\hat{\mathbb{C}}$: 複素平面+無限遠
  • 複素平面全体は有界ではないのでコンパクトではないが、無限遠点を追加したリーマン球面はコンパクト集合になる。このように点を追加することでコンパクトにすることを1点コンパクト化という
  • (↑は開区間に端点を追加して閉区間にするのと似てる?)
  • 位数 $\text{ord}_{f}(a)$ : ローラン展開した時の総和の初項の数字、つまり $$ f(z)=\sum_{n=m}^{\infty}a_{n}(z-a)^{n} $$ のときのm
  • 真性特異点: ローラン展開したときのマイナス乗の項が無限まである点
  • 極: ローラン展開したときのマイナス乗の項が有限個である点
  • m位の極: マイナスm乗までが現れる極
  • 零点: ローラン展開したときにプラス乗しか現れない点
  • 有理型関数: 特異点が離散的で、真正特異点をもたないもの
  • 偏角の原理: fを、なめらかな曲線で囲まれた領域Dの周上の有理型関数とするとき、零点Nと極Pの個数の関係は以下のようになる $$ {1\over 2 \pi i}\oint_{\partial D}{f'(z)\over f(z)}dz=N-P $$

確率

  • 確率密度関数 $$P(a\leq x \leq b)=\int_{a}^{b}f(x)dx$$
  • 正規分布の標準化 $${X-\mu\overσ}$$
  • モーメント母関数を使うと、期待値は $E[X]=M'_{X}(0)$ 、分散は $V[X]=E[X^{2}]-E[X]^{2}=M''_{X}(0)-M'_{X}(0)^{2}$ と計算できる
  • コーシー分布 $$f(x)={1\over\pi(1+x)^{2}}$$ は、裾が重く平均値が存在しない
  • 対数正規分布とは、対数を取ると正規分布になるような分布。個人の資産の分布などがこれに近いといわれている
  • 分布の関係性 $$ \begin{array}. 二項分布 & \xleftarrow{\text{共役事前分布}} & ベータ分布 \\
    \left\downarrow {\small\text{多変量}}\right. && \downarrow \\
    多項分布 & \leftarrow & ディリクレ分布 \end{array} $$ $$ \begin{array}. 幾何分布 & \xrightarrow{\text{k回に一般化}} & 負の二項分布 \\
    \left\downarrow {\small\text{連続化}}\right. && \downarrow \\
    指数分布 & \rightarrow & ガンマ分布 \end{array} $$

統計

  • サンプル調査で母集団の分布を推定する場合は、平均についてはそれでいいが、分散についてはずれが生じる
  • 最尤法(さいゆうほう):一番もっともらしい値を算出する方法

具体例で学ぶ数学

  • クロネッカー積: 行列AとBの掛け算として、Aの全要素それぞれとBの左上の要素の掛け算を首座に置き、Aの全要素それぞれとBのさっきの隣の要素の掛け算を隣に置き…と、ドカンと膨らませる積。たとえば2x2と2x2の掛け算なら4x4になり、3x5と2x7の掛け算なら6x35の行列になる
  • 球面集中現象: 高次元球面の体積のほとんどは球面付近に集中する原理。2次元だと表面10%が占める面積の割合は19%、3次元なら27%程度だが、20次元の球の場合は表面10%の体積が全体の88%を占める。このように、高次元では我々の直感と相容れない現象が起きる
  • 汎関数:関数の関数
  • ガトー微分汎関数微分。方向微分と似ている
  • マハラノビス距離: データが平均から離れている距離
  • IoU: Intersection over Union、2つの集合の一致率。ちょっとずれただけでも値が大きく下がるので、厳しい指標といえる

理数アラカルト

  • グラム行列: 行列の各要素をベクトルの内積で表現したもの、つまり $a_{ij}=v_{i}\cdot v_{j}$
  • LU分解(lower-upper decomposition): ある行列を下三角行列と上三角行列の積に分解すること
  • ↑ができるためには、任意の首座小行列の行列式が0でないことが必要十分
  • コレスキー分解: LU分解の中でも、下と上が転置の関係になっているように分解すること
  • スターリングの公式 (Stirling's formula) : Nが十分大きい場合、次の近似が成り立つ $$\log N! \sim N \log N - N$$

予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」

群論

  • 集合と演算をセットで代数系という
  • 群は演算1個、環や体は演算2個
  • 群と体をつなげるものがガロア理論
  • 複素数の集合 $\{i,-1,-i,1\}$ と、行列の集合 $\{(0,-1/1,0),(-1,0/0,-1),(0,1/-1,0),(1,0/0,1)\}$ の元それぞれにa,b,c,dと記号を振り、それぞれの積を考えた群表を書き出すと両者が一致する。これを同型といい、 $\cong$ で表す
  • ↑はどちらも回転の演算ともいえる(行列は回転行列になってる)
  • 一般線型群: 正則行列と行列の積で定義される群
  • 群の定義: 演算について閉じており、結合法則が成り立ち、単位元、逆元が存在すること 
  • 整数と掛け算は、演算について閉じてないので群ではない
  • 実数と掛け算の場合、0を1にもっていく逆元が存在しないので群ではない
  • ただし、0を除けば群
  • 1の1点集合も群だが、面白くないので自明群と呼ばれる
  • 正則行列全体は一般線型群という
  • 交換法則が追加で成り立てば可換群orアーベル群(行列や四元数は交換法則が成り立たないので可換群ではない)
  • 群の元の個数を位数という
  • 以降、演算子は省略してくっつけて書く
  • 単位元や逆元は一意
  • 写像の合成も演算と見れば群。組み合わせ変更のさらに組み合わせ変更のことと考えるとわかりやすい。その結果の組み合わせ変更が、リストの中にある(=閉じている)こと、結合・単位元・逆元があることもわかる。これを対称群という
  • 3次以上の対称群は非可換
  • 任意の置換は互換の積で表される。また、そのときの置換の数の偶奇性は一意
  • 部分群: 有理数の加算は実数の加算の部分群、実数の加算は複素数の加算部分群
  • SLはGLの部分群(SLは特殊線形群行列式が1のもの
  • ある群とその部分群は、単位元と逆元を共有する
  • 同値:反射・対称・推移の3つが成り立つもの。イコールなど
  • 同値類はかぶりがないグループ分け
  • 群Gの任意の2元a,bについて、aの逆元とbの演算結果がGの部分群Hに含まれるとき、つまり $a^{-1}b\in H$ が成り立つときを $a\sim b$ と定義すると、 aの同値類は左剰余類という。 $ba^{-1}\in H$ なら右剰余類で、可換群なら両者は同一
  • 左剰余類を変形すると $$ \begin{align} C(a)&=\{x\in G\mid a \sim x\} \\
    &= \{x \in G\mid a^{-1}x\in H\} \\
    &= \{ah\mid h \in H\} \end{align} $$ と変形できるので、左剰余類のことを $aH$ と表すことがある
  • 群Gの任意の2元a,bによる左剰余類の位数は同じ、つまり $$\forall a,b\in G: |aH|=|bH|$$
  • ↑より、左剰余類による群Gの分割は、均等に分割されていることがわかる
  • さらに、Gは左剰余類による和集合として表せる。これを左類別という $$ G=H\cup aH\cup bH\cup\dots $$
  • ↑は商集合としても定義出来て、 $$ G/H:=\{eH,aH,bH,\dots\} $$
  • 右類別の場合は、スラッシュを反転させて $$ H\setminus G:=\{He,Ha,Hb,\dots\} $$
  • 具体例として、3の倍数の整数の集合による整数全体の商集合は $$ \mathbb{Z}/3\mathbb{Z}=\{0+3\mathbb{Z},1+3\mathbb{Z},2+3\mathbb{Z}\} $$ または、代表元だけ取り出して $$ \mathbb{Z}/3\mathbb{Z}=\{\overline{0},\overline{1},\overline{2}\} $$
  • 正規部分群(normal subgroup)$H \trianglelefteq G$ : HがGの部分群で、任意のGの元aに対して aH=Ha となるもの
  • 可換群ならその部分群は常に正規部分群
  • 剰余群: 正規部分群Nの剰余類の積もまた群になり、 $aNbN=abN$ そのように作られたものを部分群という
  • 可換群の剰余群も可換群
  • $\mathbb{Z}$ は可換群なので $\mathbb{Z}/3\mathbb{Z}$ は正規部分群。そこでこれの剰余群を考えると、 $$\displaylines{ (0+3\mathbb{Z})+(1+3\mathbb{Z})=1+3\mathbb{Z} \\
    (1+3\mathbb{Z})+(2+3\mathbb{Z})=0+3\mathbb{Z} }$$ などが成り立つ
  • ↑の例からわかる通り、剰余群の議論はmod計算の一般化ともいえる
  • 正規部分群の判定として、Gの元aとGの部分群Hの元hを使って、a,h,aの逆元の積が閉じていることと必要十分、つまり $$ \forall a \in G: aH=Ha \iff \forall h \in H, \forall a \in G: aha^{-1}\in H $$
  • 群についての準同型写像: 写像G→G'について $f(xy)=f(x)f(y)$ がすべてのGの元x,yについて成り立つことただし、左辺はGの演算、右辺はG'の演算が含まれる
  • 同型写像: 準同型写像かつ全単射の場合 $G\cong G'$
  • 準同型写像の性質 $$\displaylines{ f(e)=e' \\
    f(x^{-1})=f(x)^{-1} }$$
  • 核はGの正規部分群、像はG'の部分群、つまり $$\displaylines{ \text{ker }f\trianglelefteq G \\
    \text{Im }f \leq G' }$$
  • $f(z)=|z|$ を定める写像 $f:\mathbb{C}\setminus\{0\}\to\mathbb{R}_{++}$ (ただし、乗法から乗法)は全射準同型写像。核は複素平面上の半径1の円上の1次元トーラス
  • $f(x)=e^{x}$ を定める写像 $f:\mathbb{R}\to\mathbb{R}_{++}$ (ただし、加法から乗法)は同型写像。なぜなら $f(x+y)=e^{x+y}=e^{x}e^{y}=f(x)f(y)$. 核は0
  • 準同型定理: Gの正規部分群としての核からfの像への写像で、値として核の類からf(x)へ移すものは同型写像( $G/\text{ker }f\cong\text{Im }f$ )になる、図にすると $$\displaylines{ \begin{align} \varphi:\quad&G/\text{ker }f&\to\quad&\text{Im }f \\
    &x\text{ker }f&\mapsto\quad&f(x) \end{align} }$$ または $\varphi(x\text{ker }f)=f(x)$ を定める写像 $\varphi:G/\text{ker }f\to\text{Im }f$
  • 特にfが全射のとき、 $G/\text{ker }f\cong G'$
  • 例: 複素数の絶対値の場合、$\mathbb{C}^{*}/\mathbb{T}\cong \mathbb{R}_{++}$ ただし、 $\mathbb{T}$ は1次元トーラス、*は0を除くの意
  • ↑は、極座標における半径rによる類別とみなせる
  • 例2: 一般線型群からその行列式を導く写像、つまり $f(A)=\text{det }A$ を定める写像 $f:\text{GL}_{n}(\mathbb{R})\to\mathbb{R}_{++}$ があるとき、核は特殊線型群になり、 $\text{GL}_{n}(\mathbb{R})/\text{SL}_{n}(\mathbb{R})\cong\mathbb{R}_{++}$
  • ↑は行列式の値による類別
  • なんか似た雰囲気のある群が同型であることを示したいとき、G/kとHに対して、kが核、Hが像となるfを探せばよい。見つかれば成立。
  • (核を取るということと、次元を1個下げた超平面と何か関連ある?)
  • 環 = 可換群 + 結合法則 + 分配法則
  • 演算を持つ集合を代数という

複素関数

  • 複素関数で計算が簡略化出来たりする
  • 複素関数は分解すると実数の2変数関数ともいえる、たとえば $z=x+iy$ とすると、 $$f(z)=u(x,y)+iv(x,y)$$
  • 複素関数は入力と出力が2次元で合わせて4次元になるので直接的な視覚化が難しい。やるとしたら $w=f(z)$ のz平面とw平面の点の対応を打つくらい
  • ↑で、変数を1つ固定して、 値の動きを線で表現することもできる
  • 指数関数と三角関数複素数への拡張はテイラー展開の定義を使う
  • ↑の定義から、eのテイラー展開はすべての累乗、sinのテイラー展開は奇数乗、cosのテイラー展開は偶数乗を取るので、eのテイラー展開が絶対収束することを使って計算を分割すると以下が言える $$e^{iz}=\cos z +i\sin z$$
  • オイラーの公式: ↑でzが実数のとき $$e^{i\theta}=\cos \theta +i\sin \theta$$
  • オイラーの等式: ↑でθがπのとき $$e^{i\pi}=-1$$
  • 複素数複素平面上で極形式で表現すると、 $$\displaylines{ \begin{align} z&=x+iy \\
    &= r\cos\theta+ir\sin\theta \\
    &=r(\cos\theta+i\sin\theta) \\
    &=re^{i\theta} \end{align} }$$
  • 複素数極形式での積は、距離は積になり偏角は和になる、というのはz1z2を考えると $$z_{1}z_{2}=r_{1}r_{2}e^{i(\theta_{1}+\theta_{2})}$$
  • 対数関数の場合は指数関数の逆関数とする
  • ただし、周期2πで無限個の関数値が対応してしまう(無限多価関数)
  • そこでまず極形式を考えると、 $z=re^{i\theta}$ と $e^{w}=e^{u}e^{iv}$ から、 $$ \begin{cases} r=e^{u}&\to&u=\log r \\
    e^{i\theta}=e^{iv}&\to&v=\theta+2n\pi \end{cases} $$ となるので、 $$\displaylines{ \begin{align} w&=\log z \\
    &= \log r+i(\theta+2n\pi) \\
    &= \log|z|+i\text{arg}z+2n\pi i \end{align} }$$
  • 主値は $-\pi<\text{arg}z\leq\pi$ で限定する(0から2πでもいい)。区別するために大文字で書いて $$ \text{Log }z=\log|z|+i\text{Arg}z $$
  • 累乗関数の場合は、eの肩に乗せて考える $$ z^{\alpha}=e^{\alpha\log z} $$
  • ↑の主値は $$ z^{\alpha}=e^{\alpha\text{Log } z} $$
  • αが整数のとき、多価性が消える。なぜなら $$\displaylines{ \begin{align} z^{\alpha}&=e^{\alpha\log z} \\
    &= e^{\alpha(\log r+i\theta+2n\pi i)} \\
    &= e^{\alpha\log r} e^{i\theta\alpha} e^{2n\alpha\pi i} \end{align} }$$ となり、αが整数だと最後の項が1になるため
  • これを使うとiのi乗が計算出来て、 $$\displaylines{ \begin{align} i^{i}&=e^{i\log i} \\
    &= e^{i(\log |i|+i {\pi\over 2}+2n\pi i)} \\
    &= e^{i(i {\pi\over 2}+2n\pi i)} \\
    &= e^{-({\pi\over 2}+2n\pi)} \\
    &= e^{-({1\over 2}+2n)\pi} \\
    \end{align} }$$
  • ↑の主値は $$e^{^{\pi\over 2}}$$
  • 微分は、微小量を0にするときに近づき方が無数にある
  • $e^{i\theta}$ の複素共役は $e^{-i\theta}$
  • $f(z)=\overline{z}$ の微分は、 $$\displaylines{ \begin{align} \lim_{\Delta z\to 0}{(\overline{z}+\Delta\overline{z})-\overline{z}\over\Delta z} &= \lim_{\Delta z\to 0} {\overline{\Delta z}\over \Delta z} \\
    &= \lim_{r\to 0} {re^{-i\theta}\over re^{i\theta}} \\
    &= \lim_{r\to 0}e^{-2i\theta} \end{align} }$$ となり、θがいくつでも取れるので一意に定まらない
  • $f(z)=|z|^{2}$ の微分は、 $|z|^{2}=z\cdot\overline{z}$ という性質から、
  • コーシー・リーマンの方程式: 複素関数微分可能ならば、少なくとも実軸に沿った偏微分と虚軸に沿った偏微分が一致しているはずとして、それを方程式化したもの、つまり $$ \begin{cases} {\partial u\over\partial x}(x,y)&=&{\partial v\over\partial y}(x,y) \\
    {\partial u\over\partial y}(x,y)&=&-{\partial v\over\partial x}(x,y) \end{cases} $$
  • ↑は必要条件なだけでなく、十分条件でもある
  • 微分可能であることと、コーシー・リーマンの方程式が成り立っていてかつ実部uと虚部vが全微分可能であることと必要十分
  • (※↑よくわかってない。CR方程式が必要十分条件なら定理の後ろの条件は不要では?vid:複素関数論3-25:00)
  • さらに進んで、zだけで判定する方法として、関数に $\overline{z}$ が含まれていなければ微分可能ともいえる。 $|z|^{2}$ は中身は $z\cdot \overline{z}$ なので含まれている、つまり微分可能ではなかった
  • 複素関数論における「正則」: 複素関数fが定義域全域で微分可能であること
  • 実数関数の積分の場合はaからbの経路は1通りに決まったが、複素関数の場合は経路が一意でない。そのため、線積分の考えを用いる
  • 区分的になめらかな曲線Cが積分路になっている複素関数のaからbまでのtパラメータによる置換積分のようなもの、つまり $$ \int_{C}f(z)dz=\int_{a}^{b}f(z(t)){dz(t)\over dt} dt $$
  • 複素数積分一般として、iを定数とみなして、実部と虚部の積分を足し合わせたものとする、つまり $$ \int_{a}^{b}F(t)dt=\int_{a}^{b}U(t)dt+i\int_{a}^{b}V(t)dt $$
  • ぐるっとまわって同じ場所に戻ってくる閉曲線による積分を周回積分といい、 $\oint$ で表す
  • グリーンの定理: 単純閉曲線で囲まれた領域Ωがあり、その周を含めてC1級のとき、周の線積分と面積分は一致する $$ \oint_{\partial\Omega}(Pdx+Qdy)=\iint_{\Omega}\left({\partial Q\over\partial x}-{\partial P\over\partial y}\right)dxdy $$
  • コーシーの積分定理: fが正則関数、u,vがC1級、CがDに含まれるなら線積分は0 $$ \oint_{C}f(z)dz=0 $$
  • ↑で、「u,vがC1級」という条件は不要であることが1900年グルサによって発見された
  • 領域というのは開集合なので、領域に周を足して領域として扱うということは通常できない。そのため、 $\overline{D}$ と書いたときは、領域Dとその周を完全に包むような別の領域を指す
  • 始点と終点が同じなら線積分の値は同じ
  • 正則な範囲内で経路の変形は自由
  • コーシーの積分公式(定理とは異なる):外側を周回積分するだけで中の値が分かる $$ f(z)={1\over 2\pi i}\oint_{C}{f(\zeta)\over \zeta-z}d\zeta $$
  • グルサの公式: ↑と同じ仮定のとき、何度でも微分可能で、以下が成り立つ $$ f^{(n)}(z)={n!\over 2\pi i}\oint_{C}{f(\zeta)\over(\zeta-z)^{n+1}}d\zeta $$
  • つまり、正則関数の正体はべき級数
  • 複素数テイラー展開は $$ f(z)=\sum_{n=0}^{\infty}{f^{(n)}(\alpha)\over n!}(z-\alpha)^{n} $$
  • ↑の証明にグルサの公式が使える
  • 孤立特異点: 自身以外が正則な近傍Rを取ることができる特異点
  • 孤立特異点でない例: $f(z)=\tan{1\over z}$ など。この場合0付近のいくらでも近い場所に孤立特異点が生じ、どんなに小さい半径Rをとっても、2つ以上(無数)の特異点が含まれる
  • 孤立特異点ローラン展開可能
  • 負のべきのことを主要部という
  • 主要部がないときは除去可能な特異点
  • 主要部が有限個の場合はk位の極
  • 主要部が無限個の場合は真正特異点
  • ローラン展開のマイナス1乗の項を留数という
  • 留数定理(residue theorem): 単純閉曲線内の孤立特異点αnすべての留数の総和がCの周回積分の定数倍になっている、つまり $$ \oint_{C}f(z)dz=2\pi i\sum_{k=1}^{n}\text{Res}(f(z),\alpha_{k}) $$
  • 留数は直接的な計算によって必ずしも容易には求まらない。そこで、留数だけをうまく取り出す計算を考える。αが1位の極の場合、ローラン展開の結果をz-αで割り、zをαに限りなく近づける、つまり $$ C_{-1}=\lim_{z\to\alpha}(z-\alpha)f(z) $$
  • 2位の極の場合、z-αの2乗で割って、zで微分してから極限を取る、つまり $$ C_{-1}=\lim_{z\to\alpha}{d\over dz}(z-\alpha)^{2}f(z) $$
  • 3位の極以降も同様
  • ↑らは何位の極か分かってる場合の話だが、大学の定期試験や院試ではそれで充分
  • 何位の極かを素早く見分ける方法
    • まず被積分関数の分子に注目し、孤立特異点で正則かどうかを見る(※ヤバいのだけ分子に移すってどういうこと? 7-47:00)
    • もし孤立特異点で正則ならテイラー展開可能で、0次の項が0でないため項が生き残る
    • あとは分母の累乗数を見て、その分次数が下がるので何位の極かが判別できる
  • 立体角はステラジアンといい、球の中でクラッカーのように切り取った場合のもので、rではなくr2に比例するので以下のように書く $$\Omega={S\over r^{2}}$$
  • ↑の意味は、球の表面積をどれくらい切り取ったか
  • 微小立体角は、面積が $$dS=r^{2}\sin\theta d\theta d\varphi$$ なので、 $$d\Omega={dS\over r^{2}}=\sin\theta d\theta d\varphi$$
  • ライプニッツの公式: 2つの関数の積fgのn階微分の係数は、二項定理の係数と一致する
  • ガンマ関数: 階乗の一般化。自然数だけで定義される階乗を正の実数に拡張 $$ \Gamma(s)=\int_{0}^{\infty}x^{s-1}e^{-x}dx $$