Programming Serendipity

気まぐれに大まかに生きるブログ

wiisメモ(実数:1変数関数~ユークリッド空間)

長くなってmathjaxのレスポンスが悪くなってきたので変えました。前回

mathjax

  • コピペ用ゼロ幅空白「​」
  • limが1行に2つ以上登場するとイタリックと解釈されるので、\_としておくとよい
  • 複数行は\displaylines{}で囲ったうえで行末に\\\\

1変数関数

  • 実変数の実数値関数(real-valued function of a real variable)を省略して関数と呼ぶ
  • 始集合(initial set)、終集合(final set)
  • yが一意に定まることが重要で、そうでない場合ここでは関数ではなく、多価関数となる
  • $D(f)$: fの定義域(domain)とは、fによる$(\mathbb{R})$の逆像$f^{-1}(\mathbb{R})$
  • 逆像と逆関数にはどちらも同じ表記$f^{-1}$が使われるので注意
  • 単調増加関数(monotonically increasing function)は=も許容、狭義単調増加関数(strictly monotonically increasing function)は<のみ許容
  • 全単射な狭義単調関数の逆関数もまた狭義単調関数
  • 恒等関数(identity function): $f(x)=x$. 入力をそのまま返す関数 $I_X:X \to \mathbb{R}$
  • 多項式関数(polynomials function): $$ f(x) = \displaystyle \sum_{k=0}^n c_k x^{k} $$
  • 有理関数 or 分数関数(rational function): $$ h(x) = \frac{f(x)}{g(x)} $$
  • 垂直漸近線(vertical asymptote)、水平漸近線(horizontal asymptote): tanの$\frac{\pi}{2}$のような漸近線
  • ある数の有理数乗は直観的だが、これを実数にまで拡大するには、その数値までに存在する有理数乗の集合の上限として定義する。 $$ a^{x} = \sup S(a,x) = \sup \{ a^{r} \in \mathbb{R} \ | \ r < x \land r \in \mathbb{Q} \} $$
  • 指数関数は狭義の単調関数
  • 自然対数関数(natural logarithmic function)、常用対数(common logarithm)、二進対数(binary logarithm)
  • lnはnatural logの意
  • 相乗平均(geometric mean)の値が欲しいとき、項が多いとそのままでは積が多すぎて算出が面倒なため、自然対数を使って足し算に落とすと便利

$$ \displaylines{ \ln (G​M) = \frac {1} {n} [\ln (a_1) + \ln (a_2) + \dots + \ln (a_n)] \\\ G​M = e^{\ln (G​M)} } $$

  • 自然数ベキ関数(power functions with natural exponents)の逆関数は無理関数(radical function): $y^{\frac{1}{n}}:\mathbb{R} \to \mathbb{R}$
  • 直角三角形(right triangle)、辺(side)、直角(right angle)、底辺(adjacent)、対辺(opposite)、斜辺(hypotenuse)、
  • 奇関数(odd function): $f(-x)=-f(x)$ を満たすもの。sin波関数、tanカーブなど。点対称。
  • 偶関数(even function): $f(-x)=f(x)$ を満たすもの。 cos波関数など。線対称。
  • tanは$\frac{\sin(x)}{\cos(x)}$で定義される。$\frac{\pi}{2}$ごとに定義できない部分が現れるのは $\cos(x)$ が0になると分母が0になって定義できないのと一致
  • arcsinはsinの逆関数
  • イプシロンデルタ論法に代わって、任意の数列が収束することを示して極限を導くこともできる(存在するだけではだめ)
  • 右側極限(right-hand limit)は右側から収束する場合、左側極限(left-hand limit)は左側から収束する場合。あわせて片側極限(one-sided limit)
  • 右側無限極限(right-hand infinite limit)
  • 点aの周辺における局所有界(locally bounded around a)という概念を使って、aに収束する場合は、aの周辺において必ず局所有界であることが保証される
  • 逆に、局所有界ですらなければその関数はどこにも収束しない
  • 絶対値定理: はさみうちの定理を使った、0への収束を示すテクニック。 $-|f(x)| \leq f(x) \leq |f(x)|$ が成り立つため、$f(x)$が0に収束することを示す代わりに $|f(x)|$が0に収束することを示してもよい
  • ネイピア数の定義 $f(x) = (1+\frac{1}{x})^{x}$は、xを正の無限大に飛ばしても、負の無限大に飛ばしてもどちらも同じネイピア数になる
  • ↑の分数を反転させた $f(x)=(1+x)^{\frac{1}{x}}$は、0を極限に取るとネイピア数に収束する
  • $f(x)=\frac{\ln (1+x)}{x}$と$f(x)=\frac{e^{x}-1}{x}$は0を極限に取ると1に収束する(実用例:不定形の極限の解消)
  • 絶対値関数の極限の場合、右からの極限と左からの極限の値が一致しない場合、極限は存在しない
  • 不定形の極限として、$\frac{0}{0}$型と$\frac{\infty}{\infty}$型の不定形があるが、これは一部算出可能で、また相互に変換可能(1/xを考えることで)
  • また、$0 \cdot \infty$型、$\infty - \infty$型、$1^{\infty}$型、$0^{0}$型、$\infty^{0}$型もそれぞれ式変形することで、↑の2つの型に変換可能
  • ロピタルの定理(l'Hospital's rule): 分数型不定形の極限の解消法の一つ。2つの関数$f,g:\mathbb{R} \subset I \to \mathbb{R}$があり、極限を求める点として $a \in I^{i}$ を1つ選ぶ。このとき、定義域上で常に微分可能で、$f(a)=0, g(a)=0$ を満たし、分母側の関数の導関数 $g'(x)$ がゼロでなく、$\lim_{x \to a} \frac{f'(a)}{g'(a)}$が有限な実数に定まるとき、その値が極限になる、つまり、以下が成立する

$$ \displaystyle \lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)} = \lim_{x \to a} \frac{f'(x)}{g'(x)} $$

  • ロピタルの定理は繰り返し適用してもよい。また、0/0型以外であれば、0/0型に変換してから適用するとよい
  • ロピタルの定理は、他の条件をそのまま、 $f(a)=0,g(a)=0$ の0を $\infty$ に置き換えることでそのまま $\frac{\infty}{\infty}$型の不定形にまるまる適用可能
  • 関数の連続性の示し方:
    • fが定義され、有限の値に収束し、$\displaystyle\lim_{x\to a} f(x) = f(a)$ となること
    • イプシロンデルタ論法
    • 関数 $f:\mathbb{R} \supset X \to \mathbb{R}$ の終集合 $\mathbb{R}$ の開集合である部分集合 $Y$ の逆像も開集合であること
  • 関数fのcに関数上方位集合(upper contour set)とは、f(x)で、定数c以上の集合のこと
  • ↑が閉集合であること、つまり、連続か、途切れていても上にジャンプしていると上半連続である(upper semi-continuous)という($y=x^{2}$ の $y \geq 0$で切った場合など)
  • 途切れていて、下にジャンプしていると上半連続ではない
  • 逆に、fのcに関する狭義下方位集合(strict lower contour set)が開集合であることを示しても、上半連続であるといえる
  • これを踏まえて、関数fが上半連続かつ下半連続である場合、関数fは連続であるといえる

級数

  • 無限級数(infinite series): 数列の総和
  • コーシーの収束判定基準(Cauchy criterion): N番目以降の総和がε未満になること
  • 消失条件(vanishing condition): 級数が収束するならば数列はゼロへ収束する
  • 数列の極限に関する主張で $\forall m,n \in \mathbb{N}: m>n ...$ のように自然数が2つ登場する場合、 $ m - 1 $ など1つずらして考えることにより、 $<$ と $\leq$ など広義の不等号と狭義の不等号を入れ替えても必要十分となる
  • アーベルの補題(Abel’s lemma): 任意の2つの数列 $\{x_n\}\{y_n\}$ に対し、 $$ X_n = \displaystyle \sum_{n=1}^N x_n $$ とすると、以下が成り立つ $$ \displaystyle \sum_{n=1}^{N} (x_{n} y_{n}) = \sum_{n=1}^{N-1} X_{n} (y_{n} - y_{n+1}) + X_{N} \cdot y_{N} $$

  • クロネッカー補題(Kronecker’s lemma): 収束する級数と発散する級数の逆数を組み合わせると0に抑え込める。具体的には、数列$\{x_n\}$が $$ \displaystyle \lim_{N \to \infty} \sum_{n=1}^{N} x_n < +\infty $$ を満たし、 数列$\{y_n\}$が、各項目がすべて正の、発散する単調増加関数の時、以下が成り立つ $$ \displaystyle \lim_{N \to \infty} \frac{1}{y_N} \sum_{n=1}^{N} y_n x_n = 0 $$

  • 正項級数(positive term series): すべての項が非負の数列の総和

  • 収束・発散の判定には、既知の級数と任意の項で大小関係が成立することを確認してもよい
  • ダランベールの判定法: 隣り合う項の比
  • コーシー・アダマールの判定法(root test): n番目の項のn乗根の値の極限が、1未満なら収束、1より大きければ発散、つまり $$ \lim_{n\to\infty} (x_{n})^{1\over n}=r $$ とすると、 $r$ が1未満なら級数は収束、1より大きければ級数は発散
  • 負項級数(negative term series)は符号を反転させて正項級数として扱ってよい
  • 絶対値級数(absolute value series)が収束するなら、元の級数も収束する
  • そのものの級数は収束するが、絶対収束はしない級数もある。1/nの交代級数など。この場合条件収束(conditionally convergent)という。
  • 調和数列(harmonic progression): 等差数列の逆数、つまり $$x_{n}={1\over a+(n-1)d}$$ ただし、分母が0にならないこと
  • 調和級数は必ず発散する

関数列

  • 関数列の極限が定義できるとき、 $\{f_n\}$ は $x$ において各点収束する(pointwise convergent at x)という
  • また、その極限を各点極限(pointwise limit)といって $f_n \to f \ \textrm{pointwise}$ と書く
  • 発散する点があったら各点収束にはならない
  • 関数列がコーシー列である場合各点コーシーである(pointwise Cauchy)といい、各点収束することと必要十分
  • 一様収束する(converges uniformly)とは、各点収束よりもより厳しい条件で、均一的に収束することを表し、 $f_n \to f \ \mathrm{uniformly}$ と書く。
    • 各点収束の定義 $$ {\color{red}\forall x \in X,} \forall \varepsilon > 0, \exists N \in \mathbb{N}, \forall n \in \mathbb{N}: (n \geq N \Rightarrow |f_n(x) - f(x)| \ < \varepsilon) $$
    • 一様収束の定義 $$ \forall \varepsilon > 0, \exists N \in \mathbb{N}, {\color{red}\forall x \in X,} \forall n \in \mathbb{N}: (n \geq N \Rightarrow |f_n(x) - f(x)| \ < \varepsilon) $$
    • ↑は $\forall x \in X,$ の位置のみ異なる。Nが確定した後にxを選択しているので、とりうるNの値の制約がより強くなっている。
  • 各点コーシーとは異なり、xの選び方とは関係なく、N番目以降の任意の2項 $f_n(x), f_m(x)$ の距離がεより小さくなる場合、一様コーシー(uniform Cauchy)という
  • コーシーのほうは定義に極限関数fが登場しないので、極限関数の候補が存在しない場合でも一様収束かどうかの議論が可能になる
  • 一様収束する有界関数列の極限関数は有界だが、各点収束の場合は必ずしも成り立たない
  • 一様収束する連続関数列の極限関数は連続だが、各点収束の場合は必ずしも成り立たない

拡大実数系

  • 同相写像(homeomorphism)とは、写像 $f:X \to Y$ について、全単射であり、f自身もfの逆写像も連続であるときにいう
  • 拡大実数系の中で距離を定義するとき、普通の定義のままだと $\infty - \infty$ が出てきて不定形になってしまうので、 $[-1,1]$ に移す同相写像を使って定義する。具体的には、 $$ f(x)= \begin{cases} -\infty & \text{if } x=-1 \\
    \displaystyle {x\over 1-|x|} & \text{if } -1<x<1 \\
    +\infty & \text{if } x=1 \\
    \end{cases} $$ の逆関数 $$ f^{-1}(x)= \begin{cases} -1 & \text{if } x=-\infty \\
    \displaystyle {x\over 1+|x|} & \text{if } -1<x<1 \\
    +1 & \text{if } x=+\infty \\
    \end{cases} $$ を使用する
  • 拡大実数系においては、正負の無限大への発散という概念はなく、どちらも収束として扱う
  • $\{x_n\}$ が収束するとき、以下のように3通りに場合分けせずに包括的に表現可能(※まだよくわからない、要検証)

$$ \exists b \in \overline{\mathbb{R}}, \forall \lambda, \Lambda \in \mathbb{R}, \exists N \in \mathbb{N}, \forall n \in \mathbb{N}: [(\lambda < b < \Lambda \land n \leq N) \Rightarrow \lambda < x_n < \Lambda] $$

  • 上極限は取りうる最大の値、下極限は取りうる最小の値? 一般項 $x_n = (-1)^{n}$ のとき、以下のようになる

$$ \displaylines{ \displaystyle \lim_{n \to \infty} \sup x_{n} = 1 \\ \lim_{n \to \infty} \inf x_{n} = -1 } $$

  • 近傍については、通常の実数では $N_{\varepsilon}(a)$は、aを中心とした $(a - \varepsilon, a + \varepsilon)$ の範囲を示すものだったが、拡大実数系においては、subscriptと無限大の半開区間として定義する。例:

$$ \displaylines{ N_2(+\infty) = (2, +\infty] \\ N_2(-\infty) = [-\infty, 2) } $$

  • 近傍系についても、無限大を中心とした場合は、その無限大から生えた片側のε近傍になる
  • 無限大を含んでいても開集合だが、閉区間は相変わらず開集合ではない
  • 空集合 $\phi$ や、自分自身 $\overline{\mathbb{R}}$ も開集合であるのは、通常の実数空間 $\mathbb{R}$ と同じ
  • $\overline{\mathbb{R}}$ 上の開集合と $\mathbb{R}$ の共通部分を取ると、$\mathbb{R}$ 上の開集合が得られる
  • 近傍を用いた連続性の表現: $f:\mathbb{R} \supset X \to \overline{\mathbb{R}}$ と $a \in X$ が与えられたとき、以下が成り立つ

$$ \forall A \in N(f(a)), \exists B \in N(a): f(B) \subset A $$

  • 連続性も包括表現がある?(※要再調査)

ユークリッド空間

ユークリッド空間の定義

  • ベクトルが可換群で、スカラー乗法の結合律と単位元も成り立ち、ベクトル加法とスカラー乗法の間にお互いに分配律が成立するとき、$\mathbb{R}^n$ が $\mathbb{R}$ をスカラー場とするベクトル空間(特に、実ベクトル空間)という
  • 加法・乗法について閉じていて、$\mathbb{R}^n$ の部分集合であるようなベクトル空間を、部分空間(subspace)という。
  • 定義より、範囲指定されたベクトル空間は部分空間ではなく、1つの要素を定数にしたものや、すべて0だけでできたベクトル空間などは部分空間となる
  • 部分空間であるための必要十分条件で、0ベクトルはOKで1ベクトルは $X \neq \phi$ とは必要十分にならない?※
  • 有理数全体 $\mathbb{Q}$ は、無理数スカラー倍すると有理数から飛び出る=閉じていないので、部分空間ではない
  • 2つのベクトルの内積(inner product)は、各要素の積の総和。つまりスカラー量が演算結果として出てくる。
  • 表記法は $a \cdot b$ または $\langle a, b \rangle$ 。
  • 同じ点同士の内積は非負実数となる(非負性(non-negativity))
  • 同じ点同士の内積の値が0の時、その点は0(定性(definiteness))
  • 3つのベクトル$x,y,z$があるとき、 $(x+y) \cdot z = x \cdot z + y \cdot z$ が成り立つ(第一引数に関する加法性(additivity in first slot))
  • 同様に、 $x \cdot (y+z) = x \cdot y + x \cdot z$ も成り立つ(第二引数に関する加法性(additivity in second slot))
  • スカラー倍は後でも先でもいい、つまり $(ax) \cdot y = a (x \cdot y)$ が成り立つ(第一引数に関する斉次性(homogeneity in first slot))
  • 同様に、 $x \cdot (ay) = a (x \cdot y)$ も成り立つ(第二引数に関する斉次性(homogeneity in second slot))
  • これらの非負性、定性、加法性、斉次性、対称性をすべて満たすと、内積空間(inner product space)もしくは計量ベクトル空間(metric vector space)と呼ばれる
  • ちなみに、線型性(linearity)は加法性+斉次性と必要十分で、 $(ax + y) \cdot z = a(x \cdot z) + y \cdot z$ を満たすことを言う
  • $x \cdot y = 0$ が成り立つとき、直交(orthogonal)あるいは垂直(perpendicular)という
  • ノルム(norm): 各要素の2乗の総和の平方根を取ったもの、つまり

$$ \displaystyle \| x \| = \sqrt{\sum_{i=1}^{n} x_{i}^{2}} $$

  • ノルムは1次元の場合絶対値と一致し、2・3次元の場合は距離に相当するが、4次元以上の場合にも拡張OK
  • $|x \cdot y| \leq \| x \| \| y \|$ が成り立つ。コーシー・シュワルツの不等式(Cauchy-Schwarz’s inequality)。
  • $\|x \cdot y\| \leq \| x \| \| y \|$ も成り立つ。劣加法性(subadditivity)/三角不等式(triangle inequality)/ミンコフスキの不等式(Minkowski’s inequality)。
  • ノルムについて、非負性、定性、斉次性、劣加法性が成り立つと、ノルム空間となる。
  • ノルム空間は実ベクトル空間の上位概念。
  • ベクトル$y$ のすべての要素が $x$ の対応する要素以上($\forall i \in \{ 1, 2, \dots , n \} : x_i \leq y_i$)であれば、 $x \leq y$ と書き、yはx以上という。
  • また、ここでの $\leq$ を $\mathbb{R}^n$ 上の標準的順序(normal ordering)または自然順序(natural ordering)という
  • $\leq$ は、反射律、反対称律、推移律を満たす。また、1次元の実ベクトル空間では完備律も満たすので全順序だが、2次元以上の場合は完備律を満たさないため半順序。
  • 加法律(addition law): $x \leq y \Rightarrow x + z \leq y + z$
  • 乗法律(multiplication law): $x \leq y \Rightarrow a \cdot x \leq a \cdot y$
  • ↑2つを満たすと順序ベクトル空間(ordered vector space)
  • (順序ベクトル空間の定義に、完備律を含む流儀もあるが、そうすると $\mathbb{R}^n$ は完備律を満たさないので順序ベクトル空間ではなくなる)
  • ユークリッド距離(Euclidean distance)は2点間の差の2乗の総和の平方根、つまり:

$$ \displaystyle d(x,y) = \sqrt{\sum_{i=1}^{n}(x_i-y_i)^{2}} $$

  • 不可識別者同一性(identity of indiscernibles):2点間の距離が0なら同じ点であること
  • ユークリッド距離関数が、非負性、不可識別者同一性、対称性、三角不等式(斜めに突っ切ったほうがショートカットになる)の4点を公理として認めると、距離空間(metric space)と呼ぶ
  • 集合と集合の間のユークリッド距離を「最小値」として定義してしまうと、最小値が存在しないケースがあることから定義できない事態が起こりうるので、$\inf$で定義する
  • 点と点の三角不等式は成り立つが、部分集合と部分集合の三角不等式は必ずしも成り立たない(重複している場合など)
  • ただし、以下は成り立つ

$$\displaylines{ d(A,B) \leq d(x,A) + d(x,B) \\
|d(x,a) - d(y,A)| \leq d(x,y) } $$

  • ミンコフスキー差: $A-B$. つまり、ベクトルの差の集合
  • 「問題(互いに素な集合間の距離)」について、$a < 0, b \geq 0$ の場合は成り立たないか?
  • 2つの集合の最短距離を「距離」と定義するのに対し、最長距離を「直径」と定義する
  • その場合も、部分集合に最大値が存在するとは限らないので $\sup$ で定義する
  • 極限の定数倍は定数倍の極限と一致し、極限の和は和の極限と一致するのと同様に、極限のノルムはノルムの極限と一致する
  • 点列の任意の部分列が収束すれば、元の点列も同じ極限に収束する
  • 対偶を取れば、収束しない部分列があれば元の点列は収束しない
  • また、このようにも言える:異なる極限に収束する複数の部分列の存在が言えれば、元の点列は収束しない
  • 有界な点列なら、それ自体が収束しなくても、収束する部分列を持つ(例:sin波などの周期振動関数の0の点など)というボルツァーノワイエルシュトラスの定理は、数列だけでなくユークリッド空間の点列についても成り立つ

ユークリッド空間の位相

  • 無限個の開集合の共通部分は開集合とは限らないが、無限個の開集合の和集合なら必ず開集合になる
  • 逆に、無限個の閉集合の和集合は閉集合とは限らないが、無限個の閉集合の共通部分なら必ず閉集合になる
  • 部分集合の中の任意の点列の極限もまたその部分集合に含まれる場合、閉集合である(存在するだけではだめ)
  • 開集合の場合のみ、その集合がその内部と一致する $A^{i} = A$
  • 内部の内部は、元の内部と同じ $(A^{i})^{i} = A^{i}$
  • 閉近傍は $C_{\varepsilon}(a)$ のように書き、開近傍は $N_{\varepsilon}(a)$ のように書く
  • $A^{c} \subset A^{e}$ が成り立つのは、 $A^{c}$ が開集合の時のみ
  • 境界点が含まれていれば閉集合
  • 集積点は、自分を除いた近傍にAの要素があること
  • ↑を判定するとき、内点は必ず集積点であり、Aの要素ではないAの境界点も必ず集積点だが、Aの要素であるAの境界点は集積点とは限らない。これ以外に集積点はない。
  • 孤立点は、自身がAの要素であって、近傍にA以外の要素が必ず含まれる点
  • コンパクト集合族の共通部分は、たとえ集合族の要素が非加算個であってもコンパクト集合になる
  • 一方、コンパクト集合の和集合もコンパクト集合であるためには、有限集合族である必要があり、加算個や非加算個であると成り立たない
  • ハイネ・ボレルの被覆定理: 有界閉集合
  • ユークリッド空間においては、「コンパクト集合であること」「有界閉集合であること」「点列コンパクト集合であること」はそれぞれお互いに必要十分
  • 基本近傍系(fundamental system of neighborhoods)or 近傍基底(local base)or 近傍基(base of neighborhoods): 近傍系の部分集合のことで、もとの近傍系の範囲をどこまで狭めたとしても、その中に必ず対象の部分集合の要素が見つかる状態、つまり $\forall N \in N(a), \exists N^{*} \in N^{*}(a): N^{*} \subset N$
  • この基本近傍系の要素が加算個のとき、第1加算公理を満たすという
  • 基本開集合系(fundamental systemof open sets)or 開基(open base): 開集合系 $\mathcal{O}$ のどんな開集合 $A$ でも、部分集合族 $\mathfrak{B}$ の要素の和集合として表現できること、つまり $\forall A \in \mathcal{O}, \exists \mathfrak{B}' \subset \mathfrak{B}: A = \bigcup \mathfrak{B}'$
  • ↑の例: $\mathcal{N}_{\mathbb{Q}} = \{N_{\varepsilon}(a) | a \in \mathbb{Q}^{n} \land \varepsilon \in \mathbb{Q} \land 0 < \varepsilon < +\infty\}$
  • 基本開集合系が加算集合であるものが存在する場合、第2加算公理を満たすという
  • 第2加算公理を満たす場合、自動的に第1加算公理も満たす
  • コンパクト集合に対しては、任意の開被覆に有限部分被覆の存在が言えたが、コンパクト集合でなくても、第2加算公理を満たす場合は、任意の集合についての任意の開被覆に加算部分被覆が存在する。これをリンデレーフの被覆定理(Lindelöf’s covering theorem)という。
  • ↑のような空間をリンデレーフ空間(Lindelöf space)という。 $\mathbb{R}^{n}$ はリンデレーフ空間。
  • 稠密部分集合: $A \subset X \subset \mathbb{R}^{n}$ としたとき、$A \subset X \subset A^{a}$ が成り立つときの $A$
  • ↑の例: Aを有理数全体、Xをユークリッド空間とすると、 $\mathbb{Q} \subset \mathbb{R}^{n} \subset \mathbb{Q}^{a}$ が成り立つため、有理数全体はユークリッド空間における稠密部分集合。(無理数全体も同様)
  • これは、 $A$ のいくらでも近い場所に $X$ の要素があること、や、 $X$ とかぶる近傍 $N \in \mathcal{N}$ を任意に選んだ時、 $A$ ともかぶる、などとも言い換えられる
  • 加算集合であるような稠密部分集合を持つ場合、可分空間(separable space)であるという
  • 可分空間の使い方としては、点を任意に選んだ時、いくらでも近い場所に加算個のXの点があることが保証されるので、非加算個の議論を加算個の議論に落とせる

ベクトル値関数(曲線)

  • 1つの実数からベクトルへの写像 $f:\mathbb{R} : X \to \mathbb{R}^{m}$ をベクトル値関数(vector-valued function)または曲線(curve)という
  • $y=f(x)$ が成り立つ組の集合をfのグラフといい、 $G(f) = \{(x,y) \in X \times \mathbb{R}^{m} \ |\ y=f(x)\}$ のように書く
  • ベクトル値関数をgeogebraでビジュアライズする場合、例えば $f(x) = (x^{2}-x,x+1)$ の場合は、 $(x^{2}-x,x+1,x)$ のように入力する
  • 曲線の極限も、イプシロンデルタ論法を使って定義できるが、各成分の極限を考え、その成分で作られたベクトルは、もとの曲線の極限と一致することを使ってもよい
  • ある点の周辺で局所有界ではないベクトル値関数は、その点において収束しない
  • ベクトル値関数について、合成関数、スカラー倍、スカラー関数倍、和、内積は計算の外に出せる
  • $\mathbb{R} \setminus \{0\}$ は開集合なので、その中において連続であるといえる。点0については、連続でも不連続でもない(定義されていないため)
  • "先の命題が要求する条件の吟味" でサイト内検索すると…
  • 基本的に位相で定義された命題の大半はベクトル値関数でも成り立つ

多変数関数(スカラー場)

  • ベクトル値関数とは逆に、ベクトルからスカラー量を取り出す写像 $f:\mathbb{R}^{n} \supset X \to \mathbb{R}$ を、多変数関数(function of several real variables)or スカラー場(scalar field)or ベクトル変数の実数値関数(real-valued function of a vector variable)のように呼ぶ
  • $3x^{3}-5x^{2}+9x-7$ のような、変数1つの場合は一般に以下のように書ける

$$ \displaystyle f(x) = \sum_{k=0}^{n} c_k x^{k} $$

  • $2x^{2}y^{2}-3x^{2}y+5x^{2}+6xy^{2}-xy-7x+4y^{2}+3y-1$ のような、変数2つの場合は一般に以下のように書ける

$$ \displaystyle f(x,y) = \sum_{k_{1}=0}^{n} \sum_{k_{2}=0}^{n} c_{k_{1},k_{2}} x^{k_{1}}y^{k_{2}} $$

  • さらに、変数の数が任意の場合の多項式関数は一般に以下のように書ける

$$ \displaystyle f(x) = \sum_{k_{1}=0}^{n} \dots \sum_{k_{n}=0}^{n} c_{k_{1},\dots ,k_{n}} x_{1}^{k_{1}} \dots x_{n}^{k_{n}} $$

  • ↑は一見Σの頭の最高次数の部分とxの添え字の変数の種類の部分で別の非負整数の導入が必要かにみえるが、たとえば $x^{6}+y^{9}$ なら $n=2,m=9$ を導入する必要はなく、 $n=9$だけ導入して、不必要な変数や次数についてはすべて係数を0にすることで表現可能であり、大は小を兼ねる方式で包括的に定義されている
  • 多変数関数の収束を考えるときに、1つ1つの収束を考えてもいいが、極座標や球面座標系での半径 $r$ が0に収束することを考えてもいい
  • 多変数関数の恒等関数を座標関数という
  • 連続性を検討するときに、対象の点の周辺の任意の点において定義されていることを要求する流儀がある一方で、定義されていなくてもいいという流儀もある。その場合は孤立点について連続であるといえる。ただしこの場合、関数の極限を前提とした定義と必要十分ではなくなる。とはいえ、実際にはどちらの流儀でも、孤立点を連続とみなして困ることはあまりない。
  • 多変数関数の定義域がコンパクトかつ連続なら、最大値と最小値を必ず持つ。これを最大値・最小値の定理(extreme value theorem)という。
  • ↑は、コンパクトでないと開集合が出てしまうからで、連続であることの要件も、ジャンプする値があるとそこが抜けてやはり開集合になってしまうから
  • ユークリッド空間の多変数関数が連続であるとは、以下のように書ける

$$ \forall a \in X, \forall \varepsilon > 0, \exists \delta > 0, \forall x \in X: [d(x,a) < \delta \implies |f(x) - f(a)| \ < \varepsilon] $$

  • 一方、ユークリッド空間の多変数関数が一様連続(uniformly continuous)であるとは、以下のように書ける

$$ \forall \varepsilon > 0, \exists \delta > 0, \forall a \in X, \forall x \in X: [d(x,a) < \delta \implies |f(x) - f(a)| \ < \varepsilon] $$

  • ↑の違いは $\forall a \in X$ が前に出てるか後ろにあるかのみで、要するに一様連続のほうがより厳しい、狭い条件になっている
  • 単なる連続性であれば、各 $a$ の周辺だけ考えて、当てはまる $\delta$ を見つければよかったが、一様連続性を満たすためには、定義域全体に共通で条件に当てはまる $\delta$ を見つけなければならない
  • 連続だが一様連続でない関数として例えば $f(x) = \frac{1}{x}$ の区間 $(0, \infty)$ がある。これは$x=0$に近づけば近づくほど、どんなに小さい$\delta$をとっても、$|f(a)-f(x)|$がいくらでも大きくなってあふれてしまい、$a$が動く限りいつまでも条件を満たせず条件にあわない $\varepsilon$ が出てきてしまう。
  • いくらでも大きくなるポイントがあると一様連続ではない
  • 連続と一様連続の違いは、各点収束と一様収束の違いにも似ている
  • 他にも、 $f(x)=x^{2}$ の区間 $(0, \infty)$ や、$f(x)=\tan(x)$ の区間 $(-\frac{\pi}{2},\frac{\pi}{2})$ なども、連続ではあるが一様連続ではない
  • リプシッツ関数(Lipschitz function): $$ \exists c \in \mathbb{R}, \forall x,y \in X: |f(x) - f(y)| \leq c \cdot d(x,y) $$

  • リプシッツ関数なら一様連続だが、逆は成り立つとは限らなく、一様連続なら連続だが逆は成り立つとは限らない

  • コンパクト集合上の連続関数は一様連続

多変数のベクトル値関数(ベクトル場)

  • 1対多をベクトル値関数(曲線)、多対1を多変数関数(スカラー場)と呼ぶのに対し、多対多を、多変数のベクトル値関数(vector-valued function of several variables)or ベクトル変数のベクトル値関数(vector-valued function of a vector variable)or ベクトル場(vector field)などと呼ぶ
  • 具体的には $f:\mathbb{R}^{n} \supset X \to \mathbb{R}^{m}$
  • 合成関数、極限、連続性などの基本的な性質は他と同じ